教師近藤とダンス再び
近藤が勉強を教えている中学校で、昼休みのことでした。
「今の二十代くらいを『Z世代』って言うけどさ」
「ああ」
「Zって、アルファベットの最後じゃん。じゃあ、それより後の世代の僕らはどうなるわけ?」
「そうだよな。うーん……最初に戻って『A世代』か?」
「えー、それはないんじゃない?」
「『えー』って、ダジャレかよ」
「違うよ。偶然」
二人の男子が廊下でそんな話をしていました。
そこは職員室が近かったこともあり、近藤が通りかかりました。
「あ、先生」
「やあ」
「先生は何世代ですか?」
ふと頭に浮かんで、片方のコが訊きました。
「ん?」
いきなりの質問でハテナ状態の近藤に、二人は今していた会話を軽く説明しました。
「そうだなあ、何世代かなあ?」
近藤は悩みました。
「ゆとり世代とかいうのじゃないですか?」
「いや、それはずっと下のコたちだよ。そうだな、敢えて言うなら、パラパラ世代かな」
「はあ? パラパラ?」
「うむ。知らないかい? ダンスのパラパラ」
二人は首をひねりました。
「じゃあ、やってみせてあげるよ」
近藤はそう言ってパラパラを始めました。
しかし、過去に踊った経験もありませんし、近藤はダンスが下手です。まったくパラパラの体を成していませんでした。
けれども、近藤の踊りはなぜか見ていたくなってしまうものなので、男子二人はずっと眺めました。
すると、何かやってるぞと周りにいた生徒が集まってきて、そのコたちも目にし続け、近藤も子どもたちが離れていかないのでやめずに一生懸命行い、人の輪はどんどん大きくなっていきました。
その結果、人だかりの中心で近藤が奇妙なダンスをしているというカオス状態、もっと言うならば地獄絵図と化しました。
そして、学校から近藤に「無用なダンス禁止令」が下されたのでした。
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