第22話:神様。
「なに?
巫菜女ちゃんに呼ばれたゼゼットはソファから立ち上がって玄関までやってきた。
そして玄関にいる客を見て絶句した。
「か、かみさま・・・」
「え?なんて言ったの?ゼゼットちゃん」
「あ、ごめん、巫菜女ちゃん・・・私、ちょっと外に出てくる」
「かみさま・・・外で話しましょ」
そう言うとゼゼットは玄関の紳士を連れて外へ出て行った。
どうやら神谷家に訪ねてきたのは人間の姿をした神様だったみたいですね。
見かけは人間でも天使であるゼゼットにはその人が神様だとすぐ分かった
んでしょう。
神様とゼゼットは真白の学校の近所の公園にいた。
「私をカオスに落とそうとした神様が何の用でここまで来たんですか? 」
「君を天界に連れ帰ろうと思ってね」
「君は本来は天界にいるべきなんだ」
「私には謀反を起こした天使たちの巻き添えを食ってカオスに落ちた君をやむなく
人間界に落とした責任があるからね 」
「その罪滅ぼしと言うこともあって君を連れ戻しに来た」
「幸いにも君はこの世界で天使に戻ることができたようだし」
「どうして私は天使に戻ることができたんですか?」
「それは真白君の愛だよ」
「君は真白君の汚れない真実の愛情を受けて結ばれたから天使に戻れたんだ 」
「それに抜かれた魂ももう戻ってるよ」
「これで、思い残すことなく天界へ帰れるだろ?」
「どうしても天界に帰らないとダメなんですか?」
「どうしてもって言うか・・・この地上に天使が残ったなんて判例は今まで
一度もないからね 」
「それに君が天界に戻ってくれないと私に汚点が残ったままになるから・・・」
「君が帰ってくれさえすれば、その汚点は払拭される」
「帰りたくない言っても?」
「帰ってもらわないと・・・」
「もし、君が天界に帰らないって言うなら真白君の命をいただくことになるよ」
「なんで、そうなるんですか、マー君はなにもしてないのに?」
「君は彼がいるから、天界のは帰りたくないんだろ?」
「だったらこの地上界に未練が残らなくすればいい話」
「そんなこと理不尽だよ・・・」
「お願い、私、天界へ帰るからマー君には手を出さないで・・・」
「だけど、少しだけ、今日1日待ってもらえませんか?」
「マー君になんにも言わないまま、黙って天界に帰ったら、私一生後悔する
ことになっちゃいますから・・・ 」
「分かった、彼とお別れが終わるまで持とう・・・」
「ちゃんとけじめをつけて、天界に帰ること・・・いいね」
そう言うと神様はすっと消えていった。
神様が去った後、ゼゼットは、その場にしゃがみこんで泣いた。
涙が枯れるまで何時間も泣き続けた。
せっかく、この世界で心から愛する人ができたのに・・・別れなくちゃいけない
なんて理不尽だよ。
つづく。
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