第18話:アスタリスの伝言。
真白は、家出したゼゼットを追って心たりのある場所を探した。
「何も出て行かなくてもいいだろ・・・」
「俺にだって考える時間は必要だよ?」
商店街や河川敷のあたりも探した。
もしかして自分たちが出会った図書館とも思ったが、この時間に学校が空いてる
はずがなかった。
(電車にも乗れないから、遠くへは言行ってないはずだし)
(でも羽があるんだからどこへでも飛べるか、そうなるとやっかいだな)
そうこうしているうちに外は雪がちらほら降ってきた。
「冷えてきたな・・・」
「この寒い夜に、どこへ行ったんだよ」
「帰ってこないと凍え死ぬぞ」
「お兄さん・・・」
そう呼ばれて真白は振り向いた。
それはさっき、リビングにやってきたアスタリスと言う堕天使だった。
「また来たのか・・・悪いけど、今はあんたとやりとりしてる暇は
ないんだ 」
「分かってるよ・・・ただ一言いっておきたくてな」
「また来るって言ったが、俺はもう二度と人間界には来ない・・・」
「来たところでここでは暮らせないからな」
「ゼゼットにも手は出さない」
「俺は一度ゼゼットを裏切ってるし、彼女を捨てた男だ」
「だから寄りをもどそうなんてそんな虫のいいことは言わない」
「ただ元気にしてるか様子を見に来ただけなんだ」
「あんたの世話になって幸せそうにやってるゼゼットを見て安心したよ」
「だから俺はもうゼゼットとは関係ないから・・・」
「それにカオスに落ちた俺は、もうすぐ悪魔になる」
「そうなったらゼゼットとは別の世界の存在・・・出会うことは二度とない」
「それだけ伝えに来た・・・じゃ〜な、彼女を大切にしてやってくれ」
「あ、そうそうゼゼットだが・・・あんたの学校の近くの公園にいるよ 」
「早く言ってやれ、あいつはすぐに強気に出るが内心は繊細なんだ・・・
あんたが迎えに来るのを待ってるぜ・・・じゃ〜な」
そう言うとアスタリスは消えた。
元カレが現れて、一悶着あるかと真白は思っていたが、アスタリスは
案外いいやつなんだって思った。
ゼゼットが惚れてもおかしくないかなって。
真白はすぐに公園に向かった。
公園に着くと、誰かベンチに座ってる影が見えた。
影に近ずくまでもなくゼゼットだとすぐ分かった。
「ゼゼット・・・」
「ゼゼット・・・帰ろう」
「ほうっといて・・・」
「ダダこねないで、さ、帰ろう」
「だって・・・」
「分かったよ・・・俺が悪かった・・・信じてるから・・・」
「少し迷っただけだよ・・・あんなことがあったから、ちょっとパニクった
だけだから・・・」
「それにさっき、アスタリスが来て俺に言ったぞ」
「二度と俺たちの前には現れないって・・・ゼゼットのことはただ元気で
やってるか見に来ただけだって・・・ 」
「君を探してた俺に、ここを教えてくれたのも彼だよ」
「あいつ、案外いいやつなんだな」
「ゼゼットが惚れるだけのことはあると思う」
「さ、こんなところにいたら凍えるよ・・・」
「いつまでもスネねてないで機嫌治して俺と帰ろう」
ゼゼットは小さくうなずいた。
「マー君」
ゼゼットは思わず真白に抱きついた。
「分かったから・・・さ、帰ろう」
「雪が降ってきたし・・・風邪でもひいたら大変だよ」
「マー君・・・」
「なに?」
「おんぶして・・・」
「え?・・・おんぶ?」
「おんぶって・・・まじで?」
「自分の足で歩けるだろ?」
「して・・・おんぶ」
真白は、またゼゼットにゴネられるとマズいと思って、しかたなく
彼女を背中におぶって家に帰った。
つづく。
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