第15話:えっ、誰?・・・泥棒?。
真白とゼゼットは、寿司屋から電車に乗ってアミューズメントパークの
イルミネーションを見に行った。
パークではクリスマス・ファンタジアって催しをやっていた。
ふたりは光のトンネルを抜けてメインのイルミネーションを見たり歩いたり
して光の世界を堪能した。
「綺麗だね・・・」
「ほんとだな・・・・」
会場ではクリスマスソングなんかかっていて、真白にはどの曲も聴いたこと
ある曲ばかりだった。
ゼゼットには分からないことだったが、素敵な装飾と素敵な音楽で、知らない
曲でもテンションが上がっていたようだった。
「もうすぐクリスマスか・・・」
「だね」
「クリスマスは知ってるんだ?」
「この時期、天使は、すっごく忙しいんだよ」
「え?なんで?」
「クリスマスプレゼント配りに行くから」
「クリスマスプレゼントって普通サンタクロースが配るんじゃないの?」
「それに本当は親が寝てる子供の枕元にプレゼント置いていくんだろ?」
「もうマー君、そんな言い方したら夢がないじゃない・・・」
「子供達にクリスマスプレゼント配るのはサンタさんだけど、プレゼントを
用意してサンタさんに届けるのが天使の役目なの・・・」
「俺んちのサンタは親父だったぞ」
「また、もう?・・・」
ふたりは水族館やプラネタリウムを見て楽しんだ。
ホテルの4階のスカイアリーナではクリスマスマーケットが開催されていて
窓からイルミネーションを見ながら仲良くスイーツを食べた。
結局、真白もゼゼットも、ふたり一緒にいられたらどこでも楽しかったのだ。
いっぱい写メも撮ったし・・・。
真白はいつかゼゼットに天界へ帰るんじゃないかって心配していた。
もしゼゼットが天界へ帰ったらその写真は真白の思い出になっただろう。
でもそれはゼゼット個人の問題であって、いくら好きだからと言っても
ゼゼットを引き止める権利は自分にはないし・・・束縛しちゃいけないと
真白は思った。
でも心情的には帰したくはなかった。
「そろそろ帰るか・・・」
そう言って真白はスマホを見た・・・時刻は8時を過ぎていた。
「今日は、ありがとう・・・」
「楽しかった?」
「うん、楽しかった・・・マー君となら、どこだって楽しいから・・・ 」
「俺もゼゼットとなら、どこにいたって楽しい」
イルミネーションを楽しんだふたりはルンルンで家に帰ってきた。
家の窓からリビングの明かりが見えたから
のかと真白は思った。
「ただいま・・・」
返事はなかった・・・。
「巫菜女ちゃん、帰ってきてるのか?・・・・」
それでも返事はなかった。
ふたりは、明かりのついたリビングに入った。
すると誰かがソファに座っているのが見えた。
男だった。
その男は、こっちを向いて待ってましたって顔をしてニタニタ笑いながら
ふたりを見ていた。
その人物は、真白と歳が変わらなそうな金髪の青年だった。
いわゆる一般的イケメン。
髪がやたら長く切れ長の冷たそうな瞳をしていた。
そこに知らない男がいるのを見て真白は焦った。
「えっ、誰?・・・泥棒?」
その男を見たゼゼットが言った。
「アスタリス・・・どうして、あんたがここにいるのよ?」
「ゼゼット元気そうでよかった」
「カオスに落ちたとばかり思ってたら、こんなところにお世話になってた
とはな・・・どこ探してもいないから・・・探したんだぞ・・・で、ようやく
見つけた」
「神様に逆らった人がなにしに来たの?」
つづく。
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