第5話:ゼゼットも知らない事実。
「そうなんだ・・・もう天使じゃなくなったから・・・堕天使になっちゃった
から羽が黒くなっちゃったんだね」
ゼゼットは悲しそうにそう言った。
「もういいから早く服着て・・・誰か来てもマズイし、裸のままじゃ風邪ひい
ちゃうよ」
「地上にいんだから羽なんかなくたっていいじゃん」
「羽がなくてもゼゼットは可愛い女の子だよ・・・」
「気持ち隠してても嫌だからはっきり言うけど・・・正直言って俺のタイプ・・・」
「だから今、アドレナリン出まくってるんだよね」
「じつは今もドキドキしてる・・・」
「え?・・・か、可愛い?」
「自分でも可愛いって思わない?」
「いや〜どうなのかな?」
「そうだ、おれのこと真白って呼び捨てていいからね・・・」
「真白の真は真実の真、で白は色の白・・・で真白・・・呼び捨てでいいから」
「俺も君のことゼゼットって呼ぶから・・・」
「分かった・・・」
「じゃあ・・・真白、私ここに来たばっかでしょ・・・」
「右も左も分かんないところに来ちゃって、これからどうしたらいいと思う?」
ゼゼットは訴えるような眼差しで真白を見た。
(その角度・・・その甘えるような瞳・・・そのあどけない微笑み・・・
そのエロっちいクチビル・・・俺じゃなくても男はみんなそんな君に弱いだろ)
(男心をくすぐることをよく知ってる堕天使だよ・・・)
(あ〜あ・・・俺んちへ連れて帰るってパターンかよ・・・)
実はゼゼットはこの人間界での行い次第では、もしかしたら天使として、
もう一度天界に戻ることができるかもしれないのですが、そんなことは
真白もゼゼットも知りません。
神様の手違いとはいえ、ゼゼットは天使として神に仕えたわけだし、
神様もゼゼットを無下にカオスに落とすのは
彼女がカオスに落ちる途中で神様は本来ゼゼットを天界へ拾い上げるつもりでした。
ですが、どうやら救いあげることに失敗したみたいです。
だからカオスに落ちる寸前にかろうじて人間界に無理やり落としたんです。
さすがの神様でもゼゼットがどこに落ちるかまでは選べなかったようですね。
天使たちは一度カオスに落ちると力のない天使はカオスから二度と出ることは
できませんからゼゼットを人間界に落とした、移動したのは神様の精一杯の
配慮だったのでしょう。
今のゼゼットは完全な天使ではなくて、堕天使と天使半分づつ持ってるの
かもしれません。
天使の特徴である羽根が残ってるってことはまだ半分は天使、羽根が黒い
色に変わってるところを見ると悪魔になる途中ってことなんでしょう。
おまけにゼゼットは神様に魂を抜かれた状態でカオスに落とされてしまったので
魂を取り戻すためには誰か「人間でも」の愛情が必要なんです。
もうお分かりですね。
ゼゼットはこのまま真白との巡り合わせが上手くいって真白がゼゼットを愛し
ゼゼットも真白を愛して、そしてふたりの愛が成就した暁には、もしかしたら
ゼゼットは魂を得て天界へ帰ることができるかもしれないんです。
つづく。
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