ブラコンな妹をブラコンから脱却させるために全力で努力する話
ミナトノソラ(旧:湊近)
第1話
俺には妹がいる。小さいころからずっと一緒にいる可愛い可愛い妹がいる。名前は冬麦 灯という。
名前からわかるように本当に明るい女の子だ。小さい頃は俺の背中にぴったりだった妹も俺が大きくなるにつれて成長していく。
悲しいような嬉しいような…なんとも感慨深い気持ちにさせられる。
ただ俺の感じているものはこれだけではない。実は灯は生粋のブラコンである。高校一年生になった今羞恥という心情をまるで知らないかのように甘えてくる。
兄としては嫌われるより何万倍もましなのだが、一方でもう高校生になったのだし兄離れしてほしいというのもある。
俺のことは嫌いにならずに、かつ学校での交友関係を築いてもらい彼氏でも作ってくれればいいと思ってる。
彼氏は…できれば作ってほしくないような気もするがそれだと俺も妹離れできていないことになってしまうからな。
それは妹に兄離れしろ、と言っていることに矛盾してしまう。
覚悟を決めるんだ俺。今灯はたぶん自分の部屋でのんびりとしていることだろう。
実はというと先ほどまで俺の部屋のベッドの上で漫画を読んでいたのだが、ある方法を使って部屋から出て行ってもらった。
そのある方法というのは俺の男の尊厳まで捨てたものなので、俺がどれだけの覚悟を決めているのかわかってもらえただろう。灯は男の尊厳を理解してくれるいい女だということも同時に知り渡っただろうか。
誰に語り掛けているかという話だが、まあそんな話は引き出しにしまっておいて早速行動に移ろう。
ゆっくりと腰をあげて部屋を出る。ちょっとばかし心臓の鼓動が増している気がする。なんだかんだ緊張してるんだな俺も。
灯の部屋に前に立ち、ノックする。すると中からガサゴソと物音が聞こえた。
「兄さん?もう終わったの?」
「…」
これは答えていいものなのか?兄として、男としてバカ素直に『うん、おかげさまですっきりしたよ』というのは…うん、言ったら本当に兄としての尊厳を完全に失ってしまう。
ここはあいまいに答えるのが正解だ。無視は肯定と捉えられる節がある。
「まあ、うん…」
かんぺきだ…これで大丈夫。いっつ曖昧!
「じゃあ今からお風呂?」
灯は何か興奮気味に扉を開くと、まぶしい笑顔を向けてそう言ってきた。
「いや、まだいいや」
「え、いいの?やったあとなんだよね?本当に大丈夫なの?」
「ああ、心配無用」
「ふーん、じゃあ私はまた兄さんの部屋行くね。自分の部屋つまんないしっ」
いやいや俺の部屋よりもよっぽど楽しそうな部屋だが?!テレビもあってゲーパソもあって、漫画とかもあって俺の部屋よりも何倍も楽しそうに見えるんだけど。
「まあ、いいけど」
といったときにはすでに俺の目の前に灯の姿はなかった。俺の部屋の中からボンッ、とおそらくベッドに飛び込んだであろう音が聞こえる。
もし仮に男がそういう行為を行ったであろうベッドに飛び込むのは女の子として許されるのか?
ちょっと灯の男への警戒心に疑問がわいた。
「話さないとな。灯に勢いに流されたらだめだだめだ」
「ん~どうしたの兄さん。そんな真面目な顔して」
「ちょっと灯に大事な話があるんだ」
「大事な話?」
「ああ…、灯と俺の将来についての話だ」
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ルビが上手くいかないのでこちらでご紹介。
冬麦(ふゆむぎ) 灯(あかり)ちゃんです。主人公君はまだ名前は出てませんのでご安心ください。
次回冒頭紹介
「えっ、やっと考えてくれるの。私との結婚!?」
「結婚!?」
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