選択【瑞夢】 《to be continued》

「……ああ…最後のパンドラを…やっと…」

 俺は膝を落とすと、無機質な床が目に映った。

 訪れる静寂と疲労は身体に重くのしかかり、皆んなが居なくなった現実が心を締め付ける。


『アルト、立ちなさい……。全て終わったわ』

 聞き覚えの無い声に顔をあげると、そこには見慣れない、青く輝く女性の姿があった。


「あなたは?」

 その俺の問いに、彼女は自分はリヴィアだった者だと答えた。

『この姿が本当の私。そして、取り戻した力で創造主とのリンクを断ち切ってきたわ。これは『観測者』による選択の力だけど、まさかこんな結末になるなんて…』

 そう語る彼女は拳を握りしめ、唇を噛み締めていた。


「リヴィア…何で…一人で? 俺の協力が必要だったんじゃ無いのか?」


『観測者は望んだわ…夢の続きを、都合のいい物語を……。だから、貴方は帰らないといけないの…』

 彼女の真意はわからない、しかしその表情から達成感に似た喜びは微塵も感じられなかった。


『アルト……今まで、ありがとう。 そして…ごめんなさい』


「リヴィア!? 一体どういう……」

 世界がノイズに染まってゆく。次第に視界がかすれてゆき、そして ──


 辺りはリヴィアの姿も見えない闇に包まれてしまった。





『──この、次元の歪みは……。


   もしかして


    まだ、望みはあるのね。


 別の視点、そこからならば、もしかして』

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