【復刻版】黄昏の図書室 〜記憶のかけら〜
芝樹 享
プロローグ
黄昏時。俺は『黄昏の図書室』と呼ばれる場所に向かった。学園敷地内、本校舎の北東に位置するとされる場所は、普段教職員も滅多に行く場所ではない。噂では、今の学園寮の建つ前の旧学園寮があったという。だが、その噂も真意かどうかわからない。
学園寮を出て、裏の林の奥を目指した。茜色から薄紫へと移りゆく空が、木々の間から差し込む光を陰らせ、辺りに不気味な静寂が漂い始めた。
草木の一角に薄暗くも蔦に絡まる壁が続いている。崩れかけた階段にびっしりと雑草が覆われ、普段から足を踏み入れない場所だということは一目瞭然だった。
俺はごくりと生唾を飲み込み、一歩一歩足元を確かめ階段をおりた。
夕日の影で、闇が俺を飲み込んでいく。
『地下第二図書室』
錆びれたプレートを見た俺は、拳をにぎりしめ決心した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます