作:参加された方

第2話 インキュバスから聖女様を守るんだ!〜美少女が絶滅危惧種~

※概要は省略します。

作品のURL https://kakuyomu.jp/works/16818093087038858156

道楽byまちゃかりさんの作品です!

作者さんのURL https://kakuyomu.jp/users/macyakari



↓ 「第1話 異世界行きの魔法陣作ってみた」

古代遺跡から異世界の魔導書を発見したその時から、俺は密かに準備を始めていた。




 全ては異世界美少女ハーレムするために。




 魅力的な男になるためにたくさん鍛えた。ドロップキックしたり柔道、合気道にも通った。




 整形を繰り返して顔も変えた。自分なりに心身共に力をつけた。




「あとは、魔法陣を描いて発動さえすれば……」




 一通りの手順を踏んで書いた魔法陣が白く光る。成功だろうか。もし失敗したら今までの努力が水の泡と化す。




「頼みます、成功してください」




 すると魔法陣から虹色輝く物体が姿を露わにした。




「凄い、本当に魔法存在してたんだ! 成功と言って過言じゃあないだろう! 退屈な毎日にさようならを! 新たな世界にこんにちはを!」




 俺は予め用意していた荷物を確認し、そして物体に触れた。




 その刹那、空間が歪む感触と共に俺の視界は暗転した。





         ◇





「痛てて……なんだこの見たことない木は、動物は、昆虫はぁぁぁ!? いや、異世界だぁぁぁ! 成功だぁぁぁ!」




 神よ、この奇跡を授けていただき感謝します。異世界に来たばっかりだけど一杯やっとこうか!『祝杯に飲もうよエタノール!』




 感無量とはまさにこのことである。泥酔しながら俺はダブルピースをしながら特大の屁をかました。




 ありゃ、思いの外音がデカい屁が出たわ。その数秒後、一人の少女が茂みから飛び出してきた。




「そこの異世界人みたいな服装の人、助けてください!」




 なんだ、原住民か? ていうかなんで俺、異世界言語理解できてるのだろう。細かいことは気にするな的な感じだろうか?




 少女が飛び出した後からいかにも悪魔みたいな風貌なやつが出没。これは、ありきたりな展開。




「この異世界人、お酒臭い!?」




 なんか都合よく美少女が悪魔に襲われてるじゃあないか。




 事情は後で聞くとしてまずは、悪魔に飛び蹴り顔面にかますか。





         ◇





 不意打ち飛び蹴りに怒り狂ったのか、悪魔が俺に迫ってくる。俺は冷静に悪魔の手首を掴んで投げ飛ばした。




 小手返し。人間の骨格を利用した合気道の技だが、まさか悪魔相手にも効くとは。




「よし、逃げるぞ! そこの少女走れるか!」




「えっ、はっはい!」





         ◇





 ……シラフになってきたが、これはどういう状況だ? いかにも清楚で異世界の聖女風な美少女に感謝されてる。




 いや、異世界かここは。そうだ、酒飲んで忘れかけてたが、異世界に来てたんだ。




 それじゃ悪魔に飛び蹴りかましたのも、そのあと悪魔にしつこく追いかけ回されたのも夢じゃあないのかぁ。




「助けて頂き感謝します。危うく私もインキュバスの餌食になる所でした……」




 インキュバス?




 サキュパスの類義語。サキュパスは男性を狙うに対して、インキュバスは女性を狙う悪魔だ。




「私はエリス。王様の御庭番に所属してます。単刀直入に聞きますね。転移者ですか?」




「えっ? 一応。チートスキルとは貰ってないけどね」




 エリスさんは何故か頬がほんのり赤みかがっていた。この人もエタノール浴びたのだろうか?




「是非、王様に謁見してほしいのです。一目見て分かりました。あなたは強い。極め付けに転移者なら勇者の素質充分にあります。是非とも女性攫いのインキュバス魔王を打倒してほしいのです」




 ふむ、魔王を倒してほしいときたか。なんか、異世界物みたいになってきたな。




 俺は迷いなく快諾した。


______________________________________

↓「第2話 王様の話が長すぎる」

「よく来たな転移者よ。鳥は唄い、緑は芽吹き、インキュバスは蛆の様に沸き、花粉は跳梁跋扈するこの季節。良い土産話を持ってきたのだなエリスよ」




 跳梁跋扈を会話に組み込んでる人初めてみた。ほしいままに跳ね回るって意味だっけな。




「この世界の全てが大地を祝福する季節に、今回王様に謁見すること大変喜ばしいと共に恭しく丁重に御礼申し上げます」




 エリスさんはとてつもなく固い言葉で王様に語りかけていた。王様に謁見する礼儀なのだろうか?




「こちらこそ慎ましく感謝の意を述べよう。さて、前置きはこのくらいにして本題に入らせてもらおう。ここ最近魔王になったインキュバスが調子に乗っている問題についてだ」




「ああ、エリスさんが言っていた美少女を攫うクソミソにもならない魔王のことっすね。俺的には夢のハーレム生活を謳歌出来ないので、今すぐにでもバチボコにしばき回したいところなんすけどね」




「いや、一見して誰もがそのような結論に至る所ではあるのだが、実のところ魔王はわやくちゃに強くて手出しが出せないのだ」




『追討令は出しているのだがな』と王様が前置きした後、こう言った。




「このことを詳しく説明するためにはこの前起こった出来事を話しておかねばなるまい。ワシはキャバクラが大好きだ」




 ん? キャバクラ? 今王様キャバクラって言った?




「キャバクラは女性が接待してくれる。ワシは接待されて上機嫌になる。彼等は身分差関係なしに対等に接してくれた。ワシに取ってキャバクラは、日々の明け暮れる様な政務を忘れさせるかの様な時間なのだ」




 ああ、そうかい。早く本題に入ってくれ。




「その時間を醜悪の権化である魔王に妨害されたのだ。先日、キャバクラへ癒しに来たのだが可愛い子が誰もいなくなっていた。ワシは怒髪衝天と言った具合で魔王追討の命を出したのだ」




 もしかして、王様が魔王に怒ってる理由。可愛い子をインキュバス魔王に取られたから?




「この怒りを分かってもらうには、わしとキャバクラの関係について言及しなければならない」




 待て待て待て、私怨含んでるよな?




 ていうか王様とキャバクラの関係なんて要らん。聞きたくない。




「ワシがキャバクラと出会ったのは20年前。とある煌びやかな商店街に似合わない老人が忙しそうに彷徨いている。ワシを見つめていたところから始まる。ワシはその老人に話しかけた。『おじいさん、私はキャバクラというものに興味があるんです! 庶民代表として手解きをお願いします』」




 話を終わらせてください。お願いします。





◇三時間後





「『おじいさん、あなたには大切な人がいるはずです。浮気なんてしてはいけません』ワシはおじいさんにそう言ったわけだ」




 話が長い! さらに言えばさっきから、他人のおじいさんの浮気話聞かされてるんだけど。三時間使って話す事なの?




 おかしいだろ。異世界転移物は美少女がたくさん出てくるのが定石だろ。なんでおっさんの話を延々聞かされなければならないんだ。




「あの王様……」




「ん? どうしたエリスよ?」




「そのお話はまた今度ってことで、転移者ユウキ•タケウチのお話に移ってもよろしいでしょうか?」




 エリスよく言ったぁぁぁ! アンタ神様か? よう王様の暴走を諌めてくれたな。ありがとう!




「おっと……少しばかり話が長くなってしまったかの」




 なんだったんだこの時間。




「要約すると、ワシがソチを援助するから魔王を倒してきてほしいのだ」




「最初からそう言えよ!」


______________________________________

↓「第3話 仲間探し」

 王様から援助金をたんまりもらい、俺は武器屋に来ていた。




「メリケンサックとは、中々古風な武器を扱うのですね~」




「……エリスさん? なんで付いてきてんの?」




「あなた、とてもお強いでしょう? 魔王退治に行くならば私も連れてってほしいと思いまして。女性たちの仇を討ちたいのです!」




 エリスは頬を赤らめながらも力強くそう言った。




「サポート魔法は得意ですから役に立つはず……」




 ああ、そういう。ふむふむ、黒っぽい茶髪、長髪ロングで清楚な雰囲気。いかにも男性受けしそうな風貌。可愛い。ヨシッ!




「分かった。エリスさんが仲間第一号ということで!」




「ありがとうございます!」





◇聖女エリスが仲間になった!





 その後、ギルドに仲間募集の張り紙を貼ったが、誰も来る気配は無かった。




 ちなみに募集要項は『美人か美少女に限る』としか書いていない。なぜ来ないのだろう?




「募集しても無駄かと。綺麗な方や可愛いお方は皆既に、インキュバス魔王に洗脳されて攫われてしまってますから」




 エリスは諦めたかの様にそう言った。




「この世界はインキュバスが魔王になってから、美少女と定義されてる方々が攫われるようになりました。私の村も綺麗な方はみんな攫われて……」




 んで、今回エリスがターゲットになったと。




 確かにギルドを見渡してみても、可愛い子が誰も居ねぇ。ていうかそもそも、少女が見当たらねぇ。




 エリス以外可愛い子が居ねえ。オラこんな村嫌だ。オラこんな村嫌だ。美少女が居ねえ村は嫌だぁぁぁ!




 そうだよなぁ。インキュバスだって美少女優先的に狙うよなぁ。エリスが奇跡だっただけで……




 ……なんでエリスは一番最後に襲われたん? もしかしてこの村、顔面偏差値レベチなん?




「インキュバスが女性を攫う過程に貞操を奪うというものがあります。インキュバスに貞操を奪われた者は洗脳されてしまうのです」




「ああ、つまり君はユニコーンなんだ」




「ゴホンッ、私は王様の御庭番にして周りから聖女様と呼ばれる程度には強くて。並のインキュバス相手には抗えるんです。前回は不意打ちを受けた過程で杖を吹き飛ばされたので、なす術なかったわけなのですが」




 ウーン。不安だ。グダグダと言い訳垂らしていて弱く見える。




 言うて俺だって最初の敵は騙し討ちで凌いだだけだし。倒せてないから人のことは言えないのだけど。




「そういや、さっき王様から聞いたんだけどさ。インキュバスって人間に擬態するらしいやん」




「そうですね。巧妙に男性へ変身してます」




「なんか見分け方とかあんの? ほら、間違って攻撃したら色々と不味いしさ」




 エリスは『そうですねぇ』と髪を触りながらある男を指差してこう言った。




「擬態は完璧ではなく、あの方みたいに角と尻尾は隠せないのです」




 なるほど、インキュバスには特徴的な角と尻尾があるわけだ。なら、目の前にいるイケメン寄りの男もインキュパスなんだな。




「ドロップキック行ってきます!」




「攻撃支援魔法かけときますね!」




 強化ドロップキックをまともに食らったインキュパスはギルドの壁を突き破ったのち、一撃で沈んだ。ふう、油断も隙も無い。




「並のインキュバスなら一撃なのですねぇ……はえぇ、すっごい」




「いや、最初に戦ったやつにドロップキックを食らわせた時は一撃で沈ます事が出来なかった。つまり今回一撃で済んだのはエリスさんのおかげだ」




「「へへへへへへッ!」」




 やれる! エリスと二人ならインキュバスもなんとかなる! 仲間なんていらなかったんや!




 さっき不安に思ったことは心の中で謝っておこ。


______________________________________

↓「第4話 魔王の腹心ガビエルとブリエル」

 改めて自己紹介。俺はユウキ•タケウチ。異世界転移してハーレム生活を望む者。




 しかし異世界はインキュバスの手によってエリスという美少女以外攫われてしまっていた。




「俺はインキュバス魔王を許さない。色んな女性の靴下をクンカクンカして、タイツをペロペロして、ニーソックスをハムハムする生活が出来ないだろうが! あと、王様に命じられたから仕方なく魔王を退治するんだ。仕方なくね」




「最初の本音が酷すぎて巻き返し聞かないって! ユウキさん、下手なインキュバスより業が深いですよ!」




「酷すぎるって? 俺はそんな酷いやつじゃあないよ」




「いや、そんなこと考える人、魔王の右腕カビエルと左腕ブリエルぐらいですよ!」




 そう言いつつ何故かエリスさんは興奮しながら靴下を脱ぎ始めている。




「最低だ。俺って」





◇終劇





「それはそうと、カビエルとブリエルって誰?」




「靴下どうぞ!」




「えっ? ああ、うん。ありがとう」




「私は気持ち悪い趣味も肯定するタイプの聖女ですから」ニコッ




 エリスさんはハイライトが消えた瞳を揺らしながらそう言った。




 ええっ……そんなの聖女じゃねえよ痴女だろ。




「やめた方がいいよ? 悪い男の要求に応えるのは」




「もちろんです。悪い人の要求は一切呑むつもりはありません!」




 なんだこれは……二重の意味で罪悪感がすごい。




 それはそれ、これはこれ。渡されたものを嗅がなければ無作法というもの。俺は思いっきり靴下を鼻に当てて、吸った。




 ほうほう、最初一瞬だけくる女性特有の汗の匂い。そのあとはエリスさんの芳醇な香りが俺の鼻を突き抜けて脳内に直接叩き込んでくる。




 要するに、最高です。これが美少女の匂いかぁ。




 エリスさんは足をプルプルさせて赤面しながら涙目で俺の所業を見つめていた。やめろよ恥ずかしい。まるで俺が変態みたいだろ。




「それでもう一回聞くけど、ガビエルとブリエルって誰?」


 


「そ、そうですね……魔王の腹心。側近です。あの者達が魔王城への結界を維持しています」




 エリスさん曰く、魔王城は巧妙な結界を張り巡らせているらしく、ここ数年で魔王城に辿り着けた者は居ないらしい。




 結界を解くには魔王の腹心二人を倒さないといけない。




「本当はこの崖に魔王城があるはずなんです」




 エリスは虚空を指差しながらそう言った。うむ、崖しかない。良くも悪くも崖しかないとしか言えなかった。




 強いて言うならばサスペンスドラマにありがちな崖というか。最終回に犯人が飛び降りそうな崖だった。




「でもさ。腹心を倒したら魔王城が現れるとか言うけどさ。その腹心が魔王城に引き篭もってた場合どうなるん?」




「人類と魔族の不毛な争いが数十年、下手したら数百年続きますね。ちなみに、前魔王は三十年掛けて倒しました」




「ええっ……てことは前魔王の腹心は三十年も引き篭もってたの? 正気の沙汰じゃあねえや」




「間違いないですね」

______________________________________

第五話以降は、こちらで!!!

https://kakuyomu.jp/works/16818093087038858156

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