優しい両親

屋敷に戻った私を、大好きな両親が出迎えてくれる。


「おかえり、リーシア。今日もルイズ様の屋敷に行っていたの?」


「はい」


「そうなのね、仲が良くて何よりだわ」


お母様の言葉にお父様も嬉しそうに頷いている。


「そういえば、リーシア。最近、予知夢は見ていないかい?」


「あ……」


「見たら、すぐに私に報告するように。王家に報告し、備えねばならないからな」


「わ、分かっておりますわ。お父様」


この予知夢だけは言うことなど出来ない。


「お父様、やはり予知夢は絶対に【防ぐこと】は出来ないのでしょうか……?」



「……」



「お父様?」


「当たり前だろう?リーシア。【予知夢】なのだから」


「そうですわよね……」


お父様が私に優しい笑みを向けて下さる。



「大丈夫だよ、リーシア。リーシアは何も心配することはないんだ」



隣でお母様が目の奥に悲しみがにじんだ気がした。



その日は、ルイズ様と両親の優しさのおかげで、久しぶりにぐっすりと眠ることが出来た。


そして、その日から私はぐっすり眠れるようになった。




予知夢を見た日からから1ヶ月後。




侍女がカーテンを開け、私の部屋に光が差す。



「おはようございます、リーシア様。朝食の準備が出来ましたので、そろそろ起きて下さいませ」



「ん……」



「最近は、しっかり眠れているようですね。本当に良かったです」


「心配をかけて悪かったわ。すぐに着替えるわね」


「はい」



いつも通りの朝。



窓の外は、快晴。




それでも……







【今日、あの予知夢が起こる】。







そう、今日はリーシアの運命の日。

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