第20話

翌日、ルークはリル公爵の執務室を訪れる。

すると中には2人の青年が席に座っていた。


「ルークくん、君の探していた人材を集めたよ。君も席に座って。」


リル公爵は席に着くように言う。


「リル公爵、こんなにも早く人材を紹介いただけるとは思いませんでした。ほんとにありがとうございます。」


「いやいや、これくらいどうということはない。実は彼らはリル公爵家の分家の子供たち、私からしたら甥っ子達なのだよ。」


「えっ!そうなのですか!」


ルークは驚く。紹介されたのはまさかのリル公爵の甥っ子たち。分家とはいえ、リル公爵家の親族ということはかなりの高等教育を受けているはずである。


「さぁ、2人とも自己紹介を。」


リル公爵がそういうと1人ずつルークに挨拶をする。


「私はジル・フォン・リル。叔父上からルーク殿の新たな試みについて聞き、興味を持ちました。ぜひあなたの力になりたい。」


「リック・フォン・リルです。ナート男爵領の話は聞いています。男爵領ながら今活気があると…あっ!ちなみに私たちは双子です。私は弟ですよ。」


どうやら2人は双子みたいだ。顔はさほど似ていない。


分家は準貴族に分類される。その為、分家の子息子女たちは王都で働いたり、嫁いだりと色々と考えなければならない。

2人ももしかしたらそういったことが頭にあるのかもしれない。


「ジルさん、リックさん、ナート男爵マルクの息子のルークです。よろしくお願いいたします。」


ルークは笑顔で2人に笑いかけた。


「2人とも貴族学院で学び、算術や読み書きなどは完璧だ。それにリル公爵領の領地運営にも携わっていた。まさに君が探していた即戦力だよ。」


リル公爵は誇らしそうに言った。


「はい、十分過ぎる人材です。ほんとにこのような方々を私が引き抜いてしまって大丈夫でしょうか?」


ルークは申し訳なく、聞いてみた。


「自分で言うのもなんだが、リル公爵家を侮るな。南部を統括する程の家柄だよ。人材は豊富だし、多くの者を抱えている。南部を統括する以上、ナート男爵領が困っていれば力を貸さなければならない。それが使命だよ。」


リル公爵の言葉にルークは何も言えなかった。

南部を統括するという使命をまっとうするリル公爵の姿に感銘を受けたからだ。


「ジル、リック、あと何人か連れていきなさい。お前たちの信頼できる者をな。」


「承知しました。叔父上。」


ジルが応えた。


「ほんとに何から何までありがとうございます。ナート男爵家としてはリル公爵がお認めくださった、公爵領でのハンバーガー店の出店を早急に進めます。」


「うむ、それが今は最高のお返しだと思っておこう。」


こうしてルークは最高の人材を2人とそのふたりが信頼する部下20人を引き連れてナート男爵領へと戻った。

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