第17話
マルクの許可を得たルークは自室で早速、役所の詳細を決めていく。
役所には様々な行政サービスを行なうための部署が置かれており、一般市民は、ここであらゆる行政サービスを受けることができる。
ナート男爵領は旧カムリ男爵領を統合したことで領地は広く、人口も15万人となり3倍となった。ルークはまずこの領地の住民一人一人をしっかりと把握するため、住民票の導入を目指すこととし、市民局を設置。その他に領地開発を進める土木局。農業や林業などを推進する農林水産局。衛生や市民の健康推進を目的とした保健福祉局。領地の財政を担う財政局を設置する。
そしてこの役所を統括する行政長官には領主であるマルクが就任。ルークはナート男爵家の次期領主であるため、事務方トップでナンバー2にあたる事務次官に就任する。
またマカドゥが5つの部署の局長に就任。総局長としてルークからの指示により部署を動かしていく。
以上の計画をルークは計画書にまとめる。
そして次に役所の庁舎の具体的なデザイン案に動いていく。
現状は5つの部署での立ち上げとなるがいずれ増やしていく予定である。その為、3階建ての庁舎にする。
ルークが購入した土地はかなり広大な為、後々増築も可能である。
色々と計画を決めているとマカドゥが戻ってきた。
「ルーク様、戻りました。とりあえず街中の職人を手当りしだい捕まえてきました。」
「おぉ、ありがとう。無事、父様の許可も取れて、ちょうど今役所の詳細と庁舎のデザイン案ができたところなんだ。」
「それは良かったです。では早速建設準備に入りますか??」
「あぁ、始めて欲しい。それと建設を急いで欲しい。ギルドに行って、冒険者などもどんどん投入して!」
「承知しました。すぐに手配をかけます。」
そう言うとマカドゥは急いで部屋を出ていった。
「よし、これで具体的に動き出すぞ。次は職員を募集しないとな…」
次に動き出さなければいけないのは職員探しである。実はルークの中でこれが1番時間がかかると想定している。
役所で働く以上、読み書きや算術といったものが出来なければならない。しかし、この世界では教育が発達しておらず、識字率は統計は無いがかなり低いのは一目瞭然である。
「うーん、どうしたものか…この国で識字率が比較的高いのは王都や公爵領か。わざわざ王都まで行くのはな…出来れば南部で見つけたい。となるとリル公爵領か…」
ルークは考えた末、リル公爵領で人材を探すことが一番の近道であると考えた。
しかし、他の領で勝手に人材募集などはできない。
「リル公爵に相談に行くか、何時でも遊びに来ていいって言ってたし。」
ルークはリル公爵に会いに行くことに決めた。
そして訪問する旨、手紙にしリル公爵へと送った。そして1週間後、ルークの元にリル公爵から返信があり、訪問することが決まった。
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