第14話

伝令がリル公爵に伝わり、隊列は1度止まる。そして続々と後続の貴族家も到着する。


ナート男爵家もその場に到着し、カムリ男爵とアルベールはマルクとルークの姿を見て驚きの表情を浮かべていた。


「ナート男爵、ルークくん。無事でよかったよ。」


リル公爵がそう言うとマイナ伯爵が詳しく聞いてくる。


「ナート男爵家になにかあったのですか??」


「あぁ、ナート男爵家の隊列が暗殺未遂にあってな。」


「暗殺未遂!?」


マイナ伯爵が驚きの声をあげると同時にハリス子爵、バース子爵も驚きの表情をうかべた。


「ルークくん、実行犯は捕らえたのだな?」


「はい、リル公爵。こちらの者たちです。」


ルークは護衛に捕らえた実行犯たちを連れてくるように言った。


そして実行犯たちがリル公爵たちの面前に並ぶ。



「こやつら!?」


バース子爵は見覚えがあるようで声を上げる。


「カムリ男爵家の家紋!?」


ハリス子爵は家紋に気づく。


そして皆一斉にカムリ男爵とアルベールを見る。


「リル公爵、マイナ伯爵、バース子爵、ハリス子爵。なにかの間違いでしょう。これはナート男爵家の企てに違いありません!家紋なんて偽装可能でしょう。もしかしたら事前に準備していたのかも…」


カムリ男爵は長々と反論する。

しかし、バース子爵が口を開く。


「カムリ男爵、私はこの実行犯達を目にしたことがあります。あなたが我が家に訪問して来た際に連れていた護衛たちではないか!」


まさかの強い味方の登場だった。どうやら過去にバース子爵は実行犯を目にしていたのだ。


「ん!?」


この言葉にカムリ男爵は黙り込む。

まさかの展開であった。

暗殺は防がれ、まさかバース子爵に実行犯たちがカムリ男爵家の者と知られていた。

これにはルーク、そしてリル公爵にとってはとても都合がよかった。


「どう説明されるつもりか、カムリ男爵。現状、爵位そして領地没収を国王に伝えなければならない。」


「ま、待ってください。これも全てアルベールが企てたことなのです!」


「えっ!父様!?」


まさかのここで身内に罪を擦り付けるカムリ男爵。これを見た各当主たちは呆れ顔だ。


「見苦しいぞ、カムリ男爵。護衛よ、カムリ男爵及びその息子アルベールを捕らえよ。」


「はっ!」


リル公爵の言葉に護衛たちが一斉に動きだし、カムリ男爵とアルベールを縛りあげる。


「先に、街の牢獄に連行しなさい。私たちは視察を続行します。」



「はっ!」


そう言うとリル公爵の護衛達は護送班と護衛班に分かれ、カムリ男爵、アルベールを連れていった。


「では、皆さん。視察に再び向かいましょう。これからの事は屋敷に帰ってからということで。」


リル公爵の一言で視察は再開されたのだった。

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