第9話

カフェが無事に開店した。

この日の来店客数はテイクアウト客を合わせて900人。

カフェの飲み物の金額は、

コーヒーは1杯400リン。

カフェオレは1杯600リン。

フルーツジュースは500リン。

健康茶が400リン。

ハーブティが600リンである。


それぞれ一杯あたり300リンの利益。つまり27万リンの純利益である。


飲み物しか提供しないカフェとしては上々の出来である。


「今回も大成功だったね。」


「はい、ここまでの売上とは…ルーク様には驚かされてばかりです。」


ルークはマカドゥと共に喜びを分かち合う。

その後、ルークは屋敷に戻り、マルクとサナと共に夕食をとった。


「ルーク、カフェも上手くいったらしいじゃないか。」


「はい、今日の純利益は27万リンになりました。」


「おぉ、そうか…ハンバーガー店といい、カフェといい、ルークはほんとに凄いな。」


マルクはルークを褒める。


「ルークのお店ができてから大通りの人通りもかなり増えてるわ。他のお店にも人がかなり入ってるようだし、かなり活気づいてるわ。」


サナが街の状況を嬉しそうにマルクとルークに話す。


「確かにそうだな。聞くところによると最近では他領にもハンバーガー店の話が流れているらしい。わざわざ訪れる者もいるようだ。カフェももしかしたら他領で話題になるかもな。」


「他領からも来てるのですか!?」


ルークはマルクの言葉に驚く。


「あぁ、知らなかったか。街の衛兵達から報告が上がっていてな。これはほんとにすごい事だぞ。」


どうやら情報は街の護衛にあたる衛兵の情報だった。それならばかなり可能性は高い。


「ところでルーク。来週、時間はあるか?」


ここでマルクは話を変えた。

マルクの表情を見るととても真剣な顔をしている。どうやらとても大切な話のようだ。


「はい、ハンバーガー店もカフェもマカドゥに任せられます。どこか行かれるのですか??」


「あぁ、実はリル公爵の社交会に招かれていてね。お前を連れていこうと思ってる。」


マルクの話はリル公爵のパーティーに同行するようにという話であった。

リル公爵はリステリン王国南部を統括する立場にある家であり、南部の貴族家5家を統括している。リステリン王国は中央に王都、東西南北を4つの公爵家が統括する。

リル公爵の統括する南部は、マイナ伯爵家、ハリス子爵家、バース子爵家、カムリ男爵家、そして我がナート男爵家である。

ちなみにこの中でナート男爵家は現状最弱の家である。


「なるほど、ですが社交会…我が家の立場的になかなか行きにくい場ですね…」


「まぁ、ルークがそう思っても仕方ないか。特にカムリ男爵家はうちの事を見下しているからな。」


カムリ男爵家。同じ南部の男爵家である。領地も隣接しており、比較されることが多い所だ。

人口はナート男爵領の2倍にあたる10万人。

産業はナート男爵領より裕福であり、鉄鋼、農業と盛んである。


「だがカムリ男爵家はここのところあまり良い噂を聞かない。どうやら我が家同様に財政状況が良くないようだ。」


「そうなのですね。ならば今なら我が家の方が裕福かもしれませんね。」


「あぁ、少なからず我が家の話は耳に入ってるはずだ。このひと月ばかりの盛況ぶりをな。」


まるくは落ち着いた口調で話す。


「同様にほかの家からも話題に上がるやもしれん。そこにお前が必要なのだ。まぁ、次期男爵である。顔を売っておいて損は無い。カムリ男爵家を除けば他の領主たちはとても優しい方々だしな。」


マルクの最後の言葉にルークは少し安心した。


「では、ルークよろしく頼むぞ。」


「はい、父様。」


こうしてリル公爵の社交会へルークは参加することとなった。

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