かめめーん

斎藤 三津希

甲羅黒い。

亀さんは歩きます、この険しい山道を。

えっさ、ほいさ。えっさ、ほいさ。

すると道の奥からウサギさんが来ました。

ウサギさんは言います。


やあやあ、亀さん奇遇だね。

こんな所で会うなんてね。

何かようでもあるのかい?


亀さんはウサギさんに言います。


いやなに、ウミガメさんと約束しててさ。

けど、この速さじゃ、海に着きそうに無い。


すると、ウサギさんは言います。


ふーん、なら僕の天舟に乗るがいい。


亀さんは言います。


天舟?


それに対し

そうだとも!そうだとも!

ウサギさんは勢いよく返事をします。


天舟は僕たちウサギが月へ向かうのに

使う乗り物なのさ。

なんせ、僕たちは月で餅をついているからね。


亀さんはそれを聞き、たいそう喜びます。


ありがとうウサギさん。

ありがたく使わせてもらうよ!


そういうと

亀さんは一目散にウサギさんの呼んだ

天舟に乗り込み、ウミガメさんの元へ

向かいました。


しかし、亀さんはウミガメさんの元へ

辿り着いても天舟を返そうとしません。


しっしっしっ、ウサギさんも

お間抜けさんだな。

そんな大事な物を貸すだなんて。

そうだっ!良いことを思い付いた。


亀さんは悪い笑みを浮かべ、

ウサギさんの天舟で世界一周を企てました。


そんな事は露知らずウサギさんは

亀さんに天舟を貸した山道で

ずっと待っているウサギさんは

耳をパタパタさせながら言います。


まだかなー。まだかなー。


そんなウサギさんの考えすら知らず、

悠々自適に世界一周を楽しむ亀さんは

ある問題に直面します。


あ!燃料がない!


それは天舟の燃料不足でした。

亀さんは天舟の燃料が何か知りません。

これでは世界一周できません。

やむなく、ウサギさんから天舟を

借りた場所へ戻ります。

しかし、もう三日が経ち、

ウサギさんはいません。


弱ったなー。ウサギさんまだかなー。

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