王妃が死んだ日

神喰 夜

序夜

昔むかしのお話でございます。

西の大陸は、奇怪な病に悩まされておりました。

女の子が生まれないのです。

どれだけ神に祈ろうとも、善行を積もうとも、病は解決しませんでした。そこで人々は、数少ない女の子を掌中の珠として慈しみました。女には苦労をさせたくないと、まつりごとも社交も、すべて男が行いました。女は、家の外に出ることさえ、男の許可なしには出来ませんでした。学を与えられることもなく、ただ子を産むことを求められていたのです。そして、誰もがそれを当たり前と思っていました。

さて、月日は流れ。ある国で、輝く銀の髪を持つ美しい姫が生まれました。

彼女の名はユリアーナ。

長く西の大陸で語り継がれる、黄金時代の始祖でございました―――

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