オダマキの花

第13話

爆発の事件によってホテルでの生活が余儀なくされて二週間が経過した。今でも花園様と同じ部屋で過ごしている。


ここ最近は花園様と話したり陽和の様子を見に行ったりしている。と言っても隣の部屋で寝たきりなのだが。


それを見かねて花園様がくれた小説をくれた。文字は見たことの無いものだったが何とか読み書きぐらいは出きるようになった。今まで、何かを読むという行為をしてきとことも無かったしする必要がなかったのだ。


そんな感じで、小説を読みながら紅茶を飲んでいた。外では優雅に小鳥が鳴いていて気持ちの良い日だった。


「ねえ、玄兎。小説もいいのだけど、少しは外に出てみたらどうかな?」

「外……ですか?」

いつものようにニコッと笑っている。外には何をしに行けばいいのだろうか。用事もないのに出る意味が分からず首を傾げていると花園様が言った。

「ほら、お小遣いあげるから市場とか見ておいで。少しは面白いと思うよ?」

花園様から財布を受けとる。中には紙幣が沢山入っていた。軽く十万円は入っているだろう。

「いえ、受け取れませんよ?」

「いいから。誰かと同じ部屋にいても息が詰まっちゃうでしょ?だから少し遊んでおいで」

そんな風に言われたら断れない。しかし、こんな金額で気を使わせてしまったと少し申し訳なく思う。

「だって、最近……小説読みながら怖い顔をしてるんだもん。何をそんなに考えているか知らないけど深く考えない方がいいよ?それに外で色んなものを見たら何か変わるかもだし」

そう言いながら俺の背中を押して出口へとたどり着いた。

「いってらっしゃい」

ニコニコと笑う花園様に見送られて俺は外に出る。


「行ってきます」

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