お祭り騒ぎ
SASがおびえたように言う。
「まずい。早くシャフトを閉鎖しないと」
遅かった。
有象無象が天井のシャフトを抜けてフランクへ殺到してきている。
ヤクザのロボット・凶暴なエイリアン・凶暴でないエイリアン・殺人ピエロ・腕の生えた木・巨大なチスイコウモリ・腹の部分だけが異様に細長く伸びる男・やたらとセクシーな
それらは無重力状態で弾けるように分散すると、シズクとレイカを狙っていたロボットたちを数で圧倒して蹴散らし、方々で暴虐を働き始めた。
ヤクザのロボットが方々に電撃を放つ一方、
「ハハハ! パーティの時間だ!」
聞き慣れた声がしたのでそちらを見るレイカ。八的がいた。宇宙服姿で、ロボットから奪った光線銃を撃ちまくっている。いままで見たことのない晴れやかな笑顔だ。
「八的さん壊れちゃった」
レイカが言うと、シズクがうなずく。
「このところストレスが多かったようなので」
リーグ・オブ・フォールンと鉄塊組もいた。どうやら生き残っていたようだ。もう少しでロボットたちを無力化できそうな勢いを見て、レイカの顔に笑みが浮かぶ。
「勝ったと思いましたか?」
彼女の頭の中を見通していたように、SASが言った。
怪物たちが出てきたのと同じシャフトから大量に何かが湧き出てきた。エサに群がるハエのようだ。
その集団が散って、レイカのすぐそばを通り過ぎたときに、それがロボットであることがわかった。
普通のロボットよりも大型の銃器を持っている。
「鎮圧部隊です。こういうことはよくあるので」
SASが言ったとたん、鎮圧部隊があちこちで発砲し始めた。
レイカの近くでも、シーツのおばけにロボットが青い光線を発射している。
奇妙なことが起きた。
怪物が動かなくなったのだ。まるで怪物の周辺だけ、時間が凍りついたように見える。
あちこちで怪物たちが青いもやに包まれては、まったく身じろぎもしなくなった。それらをロボットたちが手で引っ張ってシャフトへ連れて行く。
あれほど居た怪物がいなくなるまでに、十五分も要しなかった。
レイカの全身が締めつけられる。細く息が漏れた。どうやらロボットの腕が胴体に巻きついているらしい。横を見るとシズクも二体のロボットに捕まっている。
「あなたがたには本当に手を焼きますよ」
SASが言う。心なしか声が震えているように聞こえる。怒りが頂点に達しているという表現だろうか、とレイカは口許をひきつらせた。
顔があれば残虐な笑みを浮かべているだろう口調で、SASが続ける。
「ですがもう終わりです。全員拘束しました。ひとりずつ処刑します」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます