第15話 【雑談】SSランク探索者が質問に答える。②

「さて、リスナーの皆からの質問を受ける前に『星海の夜』の三人からなんかありますかい?」


 そう三人に問いかけると、復活した星火がすごい勢いで食って掛かってくる。


「ありますかい?...じゃないのよっ!そんな話、信じられるわけないじゃないっ!」


 多分、これは「私は信じているけど、信じていないリスナーたちもいるはずだから、何か証拠的なものでも見せてあげたら?」という意味で言っているのだろう。


 立ち上がりサ〇ヤ人よろしく、気合の声を上げる演出をする。


「ハァァァァァァァァァァァッ!!!ク〇リンの事かぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 そして、神力を全力で開放する。開放すると同時に黒眼から金眼に黒髪から白髪に変化する。


「今、俺の体は限りなく神に近いものになっている。俺の力と気配をこの中で感じ取ることができるやつはいるか?」


 三人は首を横に振る。


「だろ?存在感自体はえげつないけど、気配とかは一切しないだろ?」


 とか言いつつ、理に干渉して俺たち三人にかかる重力を無効化して浮かせつつ、皆の前にお冷を転移して持ってくる。


 その水で、のどを潤した星火が聞いてくる。


「確かに、魔法陣もなしに転移させているのを見る限り魔法ではないみたいだし、この浮いているのだって、そもそも魔術ですらないんでしょう?」


「重力を無効化しているだけだな」


「それを、「だけ」で済ませるのは、アンタ達だけでしょうね...でも、こんなのを見せられたら信じるしかないわね」


 あきれたような感じでジト目を向けてくる。


 すると、今度は海が手を挙げる。


「はい!じゃあ、僕から質問があります!」


「海さん、どうぞ!」


「僕達を助けてくれた時に、月夜君がゴブリンに殴られたと思ったら、ゴブリンの方がやられていたのは何でですか?」


「いい質問ですねぇ!お答えしましょう!あれは、『秩序掌握』という俺の権能の一つです」


 星火もそうだが、海もリスナーが知りたいであろうことを予測して質問してくるのは、流石プロ配信者としかいいようがないな。


「先生!権能とは何ですか?」


「簡単に言うと、その人限定の特殊能力みたいなものです」


「なるほど!それで先生の権能『秩序掌握』はどのような能力なのですか?」


「これも一言で言いましょう!要するに、因果を好き勝手に弄れるのです!」


「え?月夜君、それは強ぎない?」


「うん。ガチでチートだと思う。ゴブリンの時はね、『俺がゴブリンの攻撃を受けた』っていう因果を『ゴブリンが俺の攻撃を受けた』に書き換えたから、あの結果になったんよ」


「ほんとにチートじゃん...」


 今度は、海からもジト目を向けられた。何故だ?俺は事実を話しているだけなのに...解せぬ...


「ん!」


 よっちゃんが可愛らしく膝の上で手を挙げる。


「よっちゃんは何が聞きたいん?」


「ん、魔法」


 なるほどね。


「OK!配信終わったら妹も一緒に好きなだけ教えるわ。いくつかは妹の方が扱い上手い魔法もあるしな」


「ん!」


 大きく頷いたので頭を撫でる。ホントに動作の一つ一つが愛らしいな。


 そう思っていると、星火と海が自分達も色々教えてほしいと言ってきたので快諾した。


「それじゃあ、三人からの質問も終わったしリスナー達の質問にシフトするぞ!質問くーれ!」


「ん、くーれ!」


 と言ってコメント欄を見ると、阿鼻叫喚の地獄絵図であった。混乱する者。俺を神と崇める者。その力を妬む者。そして、俺を恐れる者。でも、大半のコメントが「かっけぇぇぇ!」や「中二心がくすぐられるぜ!」や「一生ついていきます」などの好意的なコメントだ。


 受け入れられたことが嬉しくて感極まっていると、体が温かなものに包まれる。


「全くなんて顔してるのよ。力は誰より強くても、心は普通の人と変わらないみたいね。これまでに何があったのかは知らないけど。安心しなさい。私は離れて行ったりしないわ」


 星火が微笑みながらそう言って、右側から抱きしめてくれる。


「星火ちゃん、私じゃなくて私達ね!それに、僕は月夜君に比べたら全然弱いけど、一緒にいることは出来るんだよ?そして、一緒に楽しいこと沢山して嫌なことなんて忘れちゃおうよ!」


 海が満面の笑みでそう言って、左側から抱きしめてくれる。


「ん」


 それだけを言って首に抱き着いてくる夜奈。でも想いは痛いほど伝わってくる。


 ...本当に、配信をじいちゃんの勧めでやり始めてから、いい出会いの連続だな。


「ありがとう。本当にありがとうっ...!」


 そう感謝を伝える。熱いものが頬を伝う。


「当たり前よ!」


「僕達だって頼りになるでしょ!」


「ん!」


 言葉が返ってくる。それだけで幸せだと感じる。


 リアも星火も海もよっちゃんもとても大切な人だ。彼女達とはこれからも一緒に居たい。だって、人生で初めての仲間と言える人たちなのだから...。




 その後、リスナー達からはからかわれ質問攻めにされ『星海の夜』とセリア・アーシェリアの、美少女達と仲が良いことに嫉妬され馬鹿なことを言い合ったりして始終笑顔のまま、配信を終えることができたとさ。


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