相対性理論殺人事件
村田鉄則
第1話 関西私大の理系キャンパスは何で山にあるのか?
「関西私大の理系キャンパスの多くは何で山にあるん?、って俺は常々思うんや。確かに、研究施設を作るには広大な土地が必要やし、土地代のかからない山に作るんは理にかなっているんやろうけど。けど、文系は駅近で理系は駅から遠い山にあるのは不公平ちゃうか?」
俺は学食で同じ文芸サークルに所属している同回生の女子・
夜遅く、学生たちも少ない食堂内は静かで、大きな俺の声はよく響いていた。
「
周りの視線を気にしてか顔を赤らめながら古川はそう小声で言った。
「古川、お前がこの間、同人誌即売会で打ってたエッセイ本読んだんやけど、そこにも俺が言ったことと同じこと書いてたやん」
そう俺が放つやいなや、古川は俺の両肩を掴んでこう呟いた。
「それは言わんといて。書いている時の私と、書いてない時の私は性格が違うんや」
「ツイッ〇ーでよくいるタイプの人やったんか。ああ、今は〇か」
古川はその言葉を聞いた瞬間、呆れた表情になった。
かと思うと、すぐに、真剣な表情になってこう言葉を放った。
「それはさておき、真部君、例の事件のこと、まとめてるんやったな」
例の事件…この関西の山にある理系キャンパスに所属する学生が次々と死んでいるという怪事件だ。どれも不可思議な事件なのだ。
1件目の事件は、7日前、学校近くにある男子学生寮で起こった。
1人の学生が寮内の共用風呂で頭を突っ込んで死んでいるのが11時ごろ出勤した寮母さんによって見つかったのだ。彼は服を着ていて、顔だけを突っ込んだ状態だった。その日の午後に彼女とデートの約束をしていたので、彼の死が自殺とは考えにくかった。だが、寮外に設置された監視カメラに発見前後不審な人物は写っていなかった。また、他の学生は皆学校に行っており、事件直前には、寮内には彼1人しかいないらしかった。
2件目の事件は、4日前起きた。学内にある自動販売機でペットボトル500mlの健康水を買った女子学生が死んだのだ。
彼女は、陸上サークルに所属しており、朝練を終え、自動販売機で健康水を買って飲んだ。飲むやいなや彼女は、倒れた。なんとその健康水の中にはトリカブトの毒が入っていた。学校の裏庭に生えていたトリカブトが何者かに抜かれて使われたらしい。彼女が買った健康水は自動販売機の取り出し口奥に詰まっていた。つまり、毒を入れた健康水を取り出し口に入れた人物がいるらしかった。自動販売機の近くに建物はなく、監視カメラが無かったため、誰が入れたか特定できていないらしい。
3件目の事件は、昨日起きた。消火設備の誤作動による事件だった。大学の研究室で深夜作業をしていた院生が倒れているのが発見された。非常音を聞きつけて大学の警備員が駆け付けたものの、時すでに遅し。死因は酸素欠乏症だった。何故、誤作動が起きたかはわからない。
「怖いなぁ…」
古川が表情を強張らせてそう言って俺の回想は途切れた。立て続けに同じキャンパス内の学生に不可解な事件が起こっているのだ。普通の人なら彼女みたく恐怖する。
だが、俺は違った。
この立て続けに起きている事件の謎に俺は惹かれていたのだ。
俺は某探偵シリーズに出てくる探偵みたく俯瞰して推理してみることにした。
相対性理論殺人事件 村田鉄則 @muratetsu
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