第42話

「…んな訳ないか。」



少しの動揺もないその様子に、美緒は自分で自分の考えを否定した。



二人はリトルキャッスルの営業所のロッカールームで出勤前の着替えをしていた。



リトルキャッスルはワゴン車の後部座席が調理台となっている街でよく見る移動販売車だが、業務前は各エリアの従業員が一日分の材料の補給や用意をする為に営業所に集まる。



男女共に制服があり、美緒も麗もその制服の可愛さに惹かれて働き始めた部分も少なからずあった。



優しいピンクのワンピースに、メイドを思わせるフリルのついたエプロン、それに白いカチューシャも制服の一部としてあった。



経営者の趣味だ、という噂も立っているが『子供が親しみやすい格好』だと当の本人は反論しているらしい。

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