第38話

思いがけず反射的に引き留めたことに驚いたのだろう、麗はすぐに手を離して引っ込めた。



なにか言いたげに口を開くが、言葉が見つからないのかまた唇を引き結んで俯いた。



「…そういうの反則。」



「え?」



功太の小さな呟きは波音に掻き消された。



功太は仕方ないな、と言うように微笑んでまた腰を下ろした。



「…ごめんなさい。」



隣で小さくなった麗が謝った。

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