第11話

どうやらこれは彼の癖らしい。



風鈴がまたちりんと鳴る。



麗の両手に握りしめられた缶が汗をかいて、手を僅かに濡らす。



「なんとなく選んで、結局失敗してしまうの」



「…人生は酸っぱかったね?」



「うん…」



麗は少年にどこか自分と同じ空気を感じた。



少しの沈黙に波の音が遠くで聞こえる。



「でもさ、」



少年は少し屈んで麗と目を合わせる。

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