第5話

麗とは反対側の坂から来たので気づかなかったのだろう。



真っ白いTシャツに緑っぽい色のハーフパンツ、それにサンダル。



極めて飾らない格好ではあったが、この少年も美しい顔立ちをしていた。



少しの沈黙があったが少年が先に声を掛けた。



「先、いいよ?」



やんわりとした声に麗はハッとして、その勢いでコインを入れてしまった。

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