第3話

対してその主人は、繭のような白い肌に銀の糸のような髪を腰まで垂らした、この世のものとは思えない美しさを湛えた女性であった。




切れ長の目の端には朱を吊り上げるように引き、妖艶な微笑みを浮かべている。




「…そうか。ところで、鼬(いたち)をやった糸繰りの娘…あれは邪魔じゃのう……」




「外の国から御前様の気配を辿ってきたとか…。」




「わらわの存在に気づくのも時間の問題……蜘蛛、心してかかるがよい」




「御意に」




蜘蛛は深々と一礼すると陽炎の如く揺らめいて姿を消した。

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