ep.01 黒の刑事

第14話

2XXX年、東京ー




警視庁の地下3階、薄暗い通路の奥、ボイラー室の隣。




警視庁刑事部捜査第四三課はそこにある。




「おはようございます大平課長」




腰まで伸びた真っ直ぐな黒髪を揺らしながら黒いパンツスーツの女性が横切る。




この課唯一の捜査員、矢城環(やしろたまき)はドアを開けると顔色ひとつ変えず席に着いた。




小柄な体と切り揃えた前髪は彼女を幼く見せているが、猫のように吊り上がった切れ長の瞳は大人びて、アンバランスな美貌を感じさせている。

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