第17話 剣獅子と古都

 黒狼遺跡は帝錦都市の西に存在している。


 白薔薇遺跡が建築物と道路で構成された都市系遺跡であるのとは対照に、黒狼遺跡は山の特定の範囲が遺跡として指定されている山岳系遺跡に分類されていた。


 二層構造で、全体の八割を占める第一層は狼型兵器が徘徊しているだけの山岳地帯である。


 夷狄による建造物はない。


 ただ狼型の縄張りが第一層として登録されているだけで、徘徊する夷狄兵器の密度が高いために遺跡とされていた。


 白薔薇遺跡と関係が深く、同型の狼型兵器を使用していたが黒狼遺跡は狂暴だった。


 白薔薇遺跡の第一層が未成年には優しく、若者達に自由に遺物を与えているのとは対照に、黒狼遺跡の夷狄は年齢性別に関係なく侵入者を武力で排除する。


 しかも、攻撃型の遺跡と同じように稀に都市を襲いに外に出てきた。


 帝錦都市に現れる夷狄の多くは、黒狼遺跡を拠点としている夷狄である。





 帝錦都市の探索士世界では、脅威としては白薔薇遺跡の方が高いが、探索難易度は黒狼遺跡の方が上だと認識されていた。


 黒狼遺跡は山岳地帯にあり、遺跡探索は登山に該当するので夷狄と遭遇しなくても遭難の危険がある。


 そして、現れる夷狄は警備車両よりも遙かに危険な狼型兵器である。


 第一層に出現する狼型兵器は隠密型、短機関銃型、狙撃型の三種類が主で、他には偵察用の小型無人機と、指ほどの大きさしかない蝶型偵察機が防衛兵器として飛行している。



 小型無人機や蝶型偵察機に発見されると、距離三キロ先から狙撃型に狙撃される危険がある。


 黒狼遺跡における探索士の主な死因は、狙撃型による超長距離攻撃だった。





 十一月下旬秋、追級探索士である剣獅子と古都は、三人の仲間を連れて黒狼遺跡を調査をしていた。


 十日前、帝錦都市に夷狄による大規模な襲撃があったので、探索士協会が調査依頼を出して剣獅子が受けたのである。


 大規模な襲撃とはいえ、都市防衛が必要なほどの規模ではなかった。


 現れたのも黒狼遺跡出身と思われる狼型兵器が二十体程度で、帝錦都市の戦力を考えれば驚異ではない。


 しかし、通常、黒狼遺跡からの襲撃は四体から五体程度の規模で、種類も普通は隠密型と短機関銃型だけである。


 狙撃型が現れるのは年に一回から二回程度でしかなくて、それでも追及探索士が出撃して問題なく討伐される。


 二十体は異常である。





 十日前の襲撃では狙撃型が四体も混じっていた。


 しかも、襲撃には参加していないが指揮官型が丘で目撃されたと報告もあった。


 指揮官型の狼型兵器が山から降りて帝錦都市を襲ったのは過去に三回しかなく、いずれも威力偵察の後で、砲撃型を含む三百体規模の夷狄軍団が帝錦都市を襲撃してきた。


 今回も似た状況で、指揮官型に率いられた狼型兵器による大規模襲撃が予想された。


 そのために、状況を重く見た探索士協会が信頼できる探索士に調査を依頼したのである。


 剣獅子は依頼を受けると、弟の古都と共に黒狼遺跡調査隊を組織した。


 他に追級探索士一人と、人工知能が操縦する遠隔操縦人機二名の合計五名で帝錦都市を出発した。





 黒狼遺跡の麓には、前線基地である銀乙基地が建設されている。


 調査隊五名は最初に銀乙基地に行くと、情報収集のために無人偵察機を飛ばした。


 遺跡周辺では、航空機は高度を上げると対空誘導弾と超高出力光線により撃墜される。


 また、低空を飛ぶと地上を徘徊している狙撃型と砲撃型に撃墜されるので、無人偵察機を飛ばすのは基地周辺で、しかも低空を短時間だけと制限があった。


 無人偵察機から望遠鏡で観測しても異常は見つからなかったので、剣獅子達は山に登る決心をした。


 五名は騎乗用獣機に乗ると、黒狼遺跡の奥に向かい登山を開始する。


 騎乗用獣機とは、人間や遠隔操縦人機が馬として乗る事が可能な機動機械である。





 八体の騎乗用獣機で山を進んでいると、弟の古都が呟くように言った。


「しかし、どうして兄さんに指名依頼が来たのでしょうね」


 古都は二十六歳の青年だった。


 次男である剣獅子の二歳年下である。長男の天蓋が剣獅子よりも六歳も年上なので、年齢が近い剣獅子と古都は親密になり自然と行動を共にする機会が多かった。


 また、天蓋が兄というよりは父親のような存在である環境も剣獅子と古都の関係に影響していた。


 暴力団の組長だった父が夷狄との戦闘で亡くなると、兄弟三人は住宅街にある叔父の屋敷に引き取られた。


 そして、長男は貧困街に戻った。


 彼は十八歳で天蓋組の組長となり、名前を星空から父親と同じ天蓋に改める。


 結果、天蓋と二人の弟は年齢だけではなくて住む場所や立場まで距離ができてしまった。


 天蓋は二十三歳の若さで務級探索士となり、天蓋組を貧困街屈指の暴力団に育てた。


 そして、剣獅子と古都も兄の暴力団に入った。





 剣獅子は古都の質問に何と答えようかと迷った。


 複数の理由があり総合的に判断されて剣獅子に依頼が来たのは間違いない。


 剣獅子が貧困街で最も勢いのある暴力団を率いている組長の弟で、天蓋組の若頭で、品行方正、しかも等級が建位で最上位の追大一級である事柄も重視されたはずである。


 しかし、古都が聞きたいのは、どうして帝錦都市が襲撃されるかもしれない重大事の調査依頼が、主力である勤級探索士ではなくて、貧困街の追級探索士に来たのかという疑問だと剣獅子は察した。


 帝錦都市には優秀な勤級探索士が指揮する探索団が多くある。


 それにもかかわらず、探索士協会は暴力団所属の追級探索士に遺跡調査を依頼した。





「貧困街の追級探索士が、最も黒狼遺跡に詳しいからだろう」と剣獅子は回答を選んで弟の古都に答えた。「白薔薇遺跡での探索活動により昇級した探索士は、次は黒狼遺跡で夷狄を狩る仕事をする。そして、黒狼遺跡で力試しをして、追級探索士に昇級するのか探索士を辞めるのかを決める。

 もちろん、住宅街の探索士も黒狼遺跡に挑戦するが、彼等は直ぐに青鰐遺跡か北の砂漠地域に向かう。狼型兵器を狩るよりも、砂漠で破壊された夷狄を収集する方が楽だからな。だから、黒狼遺跡に生涯を捧げる貧困街の探索士に依頼を出したのだと思う」


 剣獅子の話を聞いて、古都は笑った。


「それも正しいと思いますけど、別の理由もあると思いますよ」


「別の理由とは?」と剣獅子は尋ねた。


「真面目に仕事をする可能性が高くない、とか」と古都は深刻な顔で言った。「壁の内側で暮らす連中が貧困街のために真剣に働く訳がない。だから、貧困街を守る仕事は貧困街の探索士に依頼したのだと思います。逆に、都市全体の危機であれば、例えば白薔薇遺跡で異変が起きたのなら勤級探索士に依頼が行きますよ。

 実際、白薔薇遺跡四姉妹事件では勤級探索士が調査に行きましたからね。白薔薇女王が関係しているなら都市だけではなく人類全体の危機です。三年前、黄金姫が現れた時は衝撃が走っていましたし、夏に黄金姫が三体に増えた時は大騒ぎでしたよ。武紫都市から征夷大将軍、正級探索士が来たくらいでしたからね」


 古都の言葉で夏を思い出して、剣獅子は笑った。


 世界に一人しか存在しない正級探索士は今年八十三歳になる老人だった。


 彼は二人の直級探索士を連れて小建支部に来て、新しい黄金姫に出会った若い探索士に自ら事情聴取をしていたのである。


 評議会からも中央委員会の錦位者が何人も来て、小建支部の一室を占拠していた。


 小建支部の職員には乙位者も山位者もいるので、貧困街の探索士も山位者までは見慣れている。


 しかし、それよりも上位の錦位者を見るのは初めてだった。


 人民服を着ている錦位者を、美術品を観賞するように美人がいるだとか肥満がいるだとか論評していたので、不敬は許されないと職員に毎日注意されていた。





 夏、黄金姫の同型と思われる三体の少女人形が白薔薇遺跡に現れた。


 服装は黄金姫とは異なっていたが、顔は似ていて、純銀姫、青銅姫、英雄姫と名乗った。


 黄金姫と同じように進級探索士の前に現れるが、黄金姫とは異なり狼型兵器の護衛を連れていて、しかも契約ではなく帝錦都市で販売されている特定の商品を求めてくる。


 純銀姫は白に銀の刺繍が施された正装服を着ていた。


 青銅姫は緑の植物柄が刺繍された正装服、英雄姫は緋色の正装服で腰に宝石付の剣を差している。


 まだ情報は少ないが、進級探索士が一人で歩いていると一体が一度だけ現れるようだ。


 そして、名前を名乗り、自分が求めている商品を新人探索士に告げる。





 天蓋組の若手戦闘員も黄金姫の姉妹と出会ったので、聴取室に呼ばれた。


 詳しい状況を可能な限り詳細に知りたかったようで、天蓋と剣獅子、古都の三兄弟も呼ばれて、征夷大将軍に質問された。


 君たちは白薔薇遺跡に詳しいと思うが大丈夫だと思うかね、と探索士の頂点が弱気な顔をしていたので、これから人類は滅亡するのかもしれないと剣獅子も不安になったものである。


 二ヶ月間、正直級探索士が六人も帝錦都市で待機して、二十歳以上が白薔薇遺跡に近付くのが禁止された。


 探索士となった少年少女達は白薔薇遺跡で少女人形に出会ったら可能な限り会話を続けるようにと求められた。


 彼女達が現れた理由を解明するためである。





 探索士協会が状況を深刻に受け止めたのも当然だった。


 事件の背景は明らかで、黄金姫が三体に増えたのは、愛国同盟と機巨組が黄金姫と交戦して、大規模な戦闘に発展したのが原因であるのは間違いなかった。


 交戦直後に黄金姫は姿を消して、それから三体の姉妹人形が現れた。


 正体が白薔薇大阿飡、白薔薇女王と疑われている黄金姫を襲撃するとは正気なのかと、機巨組の探索士達は呼び出されて、厳しい指導を受けていた。


 愛国同盟も睨まれて活動を制限された。


 しかし、勇気がある若き進級探索士が英雄姫に質問した事で事件は解決に向かった。


「黄金姫が襲撃されて、怒っていますか?」


 進級探索士から質問されて、英雄姫は耳に左手を当てた。


「姉を襲った愚行を今回は不問にするが、次回、私達四姉妹を襲撃したら反撃すると白薔薇女王は仰っています。二度目はありません。さて、探索士の水滴、私は蜜造菓子店の焼き菓子を求めています」  




 反撃という単語を聞いて、誰もが大惨劇を思い出した。


 新人探索士と英雄姫の会話は録音されて探索士協会で共有された。


 結果、黄金姫と純銀姫、青銅姫、英雄姫、の四体を攻撃する行為は重罪となった。


 同時に、二十歳以上の探索士が白薔薇遺跡を探索する行為も法律で禁止された。


 ただ、今では四姉妹は新人探索士に人気である。


 要求された商品を持って白薔薇遺跡に行くと、再び現れて、商品と引き換えに四十万紅銭を超える高額遺物と交換してくれるからである。


 最近は、純銀姫、青銅姫、英雄姫の誰と出会うかで将来を占う文化も生まれた。





「ただ、黄金姫は消えたようです。夏以降、目撃情報がありません」


 古都が言うと、剣獅子は思った事を口にした。


「求めていた契約者を見つけたのか、交流の方針を変えたのか、あるいは黄金姫の正体が本当に白薔薇女王で彼女の興味が他に移った可能性も考えられる。ただ、白薔薇遺跡が以前よりは安全になったのは間違いない。黄金姫の姉妹は商品と遺物を交換するだけの慎ましい夷狄だが、黄金姫は危険な存在だった。黄金姫と契約した可能性がある探索士は全員が消えていた」


「確かにそうですね」


「黄金姫の脅威度を要直一級、彼女の姉妹の脅威度を要進四級と判定した探索士協会の判断を俺は支持している」


 空間の広さに比べると、黒狼遺跡は夷狄の規模が小さい。


 第一層には狼型兵器が全部で六千体程度しか存在していないと予想されている。


 追級探索士には脅威にならない隠密型と短機関銃型が中心で、狙撃型は僅かである。


 しかも行動範囲は広く分布していて、普通は三体から五体程度の群れで行動している。


 他の遺跡で経験するような、百体の夷狄に包囲される危険は小さい。


 山を奥に進むと狼型兵器を製造している兵器工場があり、兵器工場の周辺が第二層と定義されている。


 第二層には遺跡主である黒狼大舎が居て、配下と共に兵器工場を守護している。


 指揮官型と砲撃型も出現するので、追級探索士でも第二層には滅多に近付かない。





 狼型兵器の特徴は自爆攻撃である。


 行動不能になると爆発するために、狼型兵器を完全な状態で鹵獲するのも、通信装置や制御装置だけを破壊して機体を無傷なまま収集するのも簡単ではなかった。


 足を射撃して、自爆させて、散乱した部品を収集するのが黒狼遺跡における通常の探索士活動である。


 火村突撃銃を装備した進級探索士は完全状態の狼型兵器を高額販売するのは諦めて、自爆しても無事だった装甲や部品などを遺物買取所に販売する事で収入を得るのが普通だった。


 黒狼遺跡が人気がないのは、自爆により部品しか収集できないからだ。


 しかも、爆発により傷んだ部品なので、他の遺跡から収集される部品よりも売値が低い。





 とはいえ、熟練の追級探索士ならば頭部の制御装置を一撃で破壊して、ほぼ完全状態の狼型兵器を鹵獲するのも不可能ではない。


 実際、剣獅子は何度も狼型兵器を完全な状態で販売している。


 完全状態の狼型兵器は非常に高価なので、能力さえあれば黒狼遺跡は最も稼げる遺跡だった。



「距離十キロ先に夷狄反応があります。数は百です」


 小型無人機を飛ばして、広域索敵を担当していた女性探索士の糸殺が言った。


 百という数字を聞いて剣獅子は険しい顔をした。


「異常事態であるのは確かだな。正確な数を知りたい」


「小型無人機が撃墜されました。新しい小型無人機を飛ばす必要があります」と糸殺は探索画面を見ながら答えた。「狙撃型がいます」


 古都が不安な顔をした。


「狙撃型の最大攻撃範囲は距離三キロでしたよね」


「念のために、盾を飛ばしておこう」と剣獅子は防御用無人機を飛ばした。「俺達も捕捉されている可能が高い」


 騎乗用獣機から再び三機の小型無人機を飛ばした。



 四枚の回転翼を回して、小型無人機は音を立てながら空に舞い上がる。


 距離一キロ前後ならば、初速三音速で発射された弾丸でも命中まで一秒は必要である。


 発射から一秒もあれば、自動回避機能を備えた小型無人機が撃墜される心配はない。


 幸運にも距離八百メートルまで接近できて、小型無人機は熱光学迷彩で隠れている夷狄まで発見した。


 集合している夷狄の数は一一三体で、最初の観測結果が正しいと確認できた。


 群れには指揮官型が一体だけ交じっていて、彼が指揮者なのは間違いない。





 剣獅子は情報表示機能がある仮面を被って、追加で空に上げた小型無人機からの夷狄情報を確認していた。


 夷狄の群れから二十体の狼型兵器が出撃した。


 進行方向は剣獅子達がいる方向と一致している。


 指揮官型が目を赤く光らせながら小型無人機の撮影機を通して剣獅子を見ていた。



「捕捉された。逃げよう」


 剣獅子と古都、三人の調査隊員は銀乙基地に向けて駆け出した。


 動員した騎乗用獣機の数は合計八体で、相手は百体以上。戦闘は不利である。


 銀乙基地には十五メートル級の人型兵器が十一体も配備されているので、基地まで逃げる事ができれば剣獅子達の安全は確保できる。


 機動兵器の背中で揺られながら、万が一の場合に備えて、剣獅子は映像と索敵情報を帝錦都市に送信する。


 これで逃走に失敗して調査隊が全滅しても、情報だけは帝錦都市に届ける事ができた。


 調査は終了、これから求められるのは全員が無事に帝錦都市に戻る事だけである。





 突然、騎乗用獣機が身体を傾けた。


 防御用無人機に銃弾が当たる音がして、剣獅子は自分が狙撃されたと悟った。


「狙撃型がいる。注意しろ」


 小型無人機を飛ばした。

 調査隊と銀乙基地の間に夷狄反応があった。


「面白くない状況だ。別働隊がいる」



 剣獅子は銀乙基地と黒狼遺跡で活動している探索士に救難信号を送った。


 騎乗用獣機が判明している夷狄情報を集めて、基地と遺跡にいる探索士に送信する。


 救難信号はそのまま緊急依頼として他の探索士に届く。

 同時に、救難信号を発信すると周辺にいる探索士の位置も確認できる。


 突然、銀乙基地からも救難信号が届いた。


 基地も夷狄に襲撃されているようである。


 奇襲されたようだ。


 銀乙基地から届いた夷狄情報は、砲撃型二十体を含む狼型兵器七十八体だった。


 送られてきた被害状況を確認すると、集中砲火を受けて銀乙基地は壊滅している。



「近くに進級探索士がいます」



 古都が言った。


 剣獅子は確認した。


「巻き込みたくない。離れよう」と剣獅子は進路を北に向けた。「今、黒狼遺跡で最も危険なのは俺達がいる場所だからな」


 小銃とは突撃銃よりも強力な歩兵銃である。


 標準弾薬や強火弾薬など、中間弾薬よりも強力な小銃弾を使用する。


 剣獅子が騎乗している騎乗用獣機には、強火弾薬を使用できる広火村狙撃銃が装備されていて、広火村狙撃銃にも火村突撃銃と同系統の射撃統制照準器が装着されていた。



 剣獅子は射撃統制照準器に表示されている生存確率を確認した。


「全員、朗報だ」と剣獅子は陽気に言った。「射撃統制照準器による計算では我達の生存確率は三十一パーセントもある。もちろん全員が無事に生還できる確率だ。三回に一回の幸運を期待しよう」


 十五歳の時から探索士を続けてきたが、射撃統制照準器が報告する生存確率が九十パーセントを切った経験は初めてだった。


 探索士世界では、九十九パーセントでも、生存確率が百パーセントではない状況は危険とされる。


 なぜなら、長い人生で生存確率が九十九パーセントを百回経験したら高い確率で死んでいるからである。


 しかも、村連武器製の射撃統制照準器が計算する生存確率は楽観すぎると評判だった。


 標準備騎兵銃では生存確率が二十パーセントしかない状況で、火村突撃銃の射撃統制照準器は生存確率を六十と表示したのは有名である。




 剣獅子は振り返り、弟と仲間達を見て覚悟を決めた。 

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2024年12月1日 18:00

白薔薇女王、終末世界の黄金姫 紅葉に燃える景色 @sinnihon

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