第8話

そして、私たちもその部屋を入ってきた扉から出た。



「すみません、ほんと」



と言いながら樋口くんは私にお茶を出してくれる。


「ありがとう。いいよ、悠依斗が止まらないのは知ってるから」


「いやぁ、そうかもしれないんですけどね」


「そういえば今日のあの人はどうしたの?」


「殺人の疑いがあって」


「なるほどねぇ。まぁ、悠依斗も悠依斗で苦労してるんだよね、多分」


「苦労ですか?」


「悠依斗は元々、あんな仕事がしたかったわけじゃない。だから今は楽しんでても心の奥ではどう思ってるんだか」


「えっ、それってどう言うことですか?」


「それは本人に聞きいた方がいいよ。私からは言えないからさ」


「余計なこと話したでしょ、雫」


「あ、おかえり。てか、余計なことじゃないでしょ。樋口くんは、悠依斗の同僚なんだからそのくらい知りたいでしょ」

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