第4話

だから大人しく1階にいるしかなかった。


でも声が聞こえた。


1階が静かだからだろう。



話している?いや違う。

泣いている?いや違う。

怒っている?いや違う。


甘い、とろける声。1階にまで聞こえる声量。


この時、初めて不快感を覚えた。



それが30分ほど続いて、やっと2人は2階から降りてきた。



「百合ちゃん、お利口にしてて偉いね〜」


「…」



頷くだけで母の言葉に答えた。



「お風呂行ってくるから、またなにかあったら呼んでね」



そう言い残して、2人はお風呂に入ってしまった。

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