第29話
そうして迎えた授業参観。結局深凪さんは来るということなので、居眠りはしていられない。
「咲は誰か見に来るの?」
「あー、お母さんが一瞬顔出すって言ってた」
「あー、そうなんだ」
「楓は?」
「うん、来る」
「お母さん?お父さん?」
「いや、彼氏」
「、、、え?」
「え?」
「彼氏来んの!?めっちゃ楽しみー」
悪い笑みを浮かべる咲はちょっと面倒くさい。
「ま、当ててみることね!」
なんて言ってみれば、
「よし、当ててやる!」
なんて、意気込まれてしまった。
私たちの授業は数学。今はまだ中学の復習がほとんどだから、なんとかなっている。
「それじゃあ始まるわよー」
そして始まる授業参観。
この授業が終われば帰れるので頑張ることにする。
廊下と教室を少し眺めればまだ深凪さんは来ていないようだった。
「それじゃあ問1解いてー」
このくらい、簡単。なんて余裕を持っていると教室に入る直前の深凪さんと目があった。
私の席は窓側の1番後ろ。ということで、私の後ろまで来れば、私のノートを覗いてきた。
「頑張れ頑張れ」
「、、、うん」
耳元で話すので身体の芯まで聞こえたようでゾワゾワした。
無事授業参観が終わった。
深凪さんとは、後で合流することにした。
「わかったわ、、、楓の彼氏」
「そ、どの人だったでしょうか!」
「白のズボンに灰色の半袖、茶色のグラサンな人!違う?」
「、、、違う」
「うわー。ショック」
「残念でしたー。また当ててねっ」
「ゲームかっての」
「それじゃ、私帰る。また明日」
「あ、もう帰るの?またねー」
「うん、またねー」
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