第3話

学校につけば、クラスメイトの騒がしい声がする。


そして私も席に着けば仲の良い奥村咲{おくむらさき)が話しかけてきた。



「聞いてよ、楓〜」


「おはよう、咲。どうしたの?」


「お母さんと喧嘩したぁ」


「また?今度はなんの喧嘩したの?」



呆れてしまうほどに咲とお母さんは喧嘩をするようで、入学してから仲良くなったというのに、かなり家庭環境が見え見えなのだ。



「彼氏のことで喧嘩した、、、」


「というと?」


「彼氏と夜電話してたんだけど、夜に電話なんてするなーって」


「なるほど」


「どうしようかなぁ」


「彼氏いくつだっけ?」


「19歳」


「忙しい時期の人じゃん。夜以外はどうにかならないの?」


「うん、ならない、、、」


「時間とか曜日決めて電話するとかにするしかないんじゃない?」


「そっかぁ」


「うん」


「てか、楓って喧嘩しないの?」


「え、う、うん」


「どんだけ優しいの、楓のお母さん」


「そんなことないよ」



そう。私が深凪さんと同居していて両親がいないことは誰も知らない。

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