第8話

「わ、可愛いですね」


「あ、あり、がと」



そして彼は淡々と料金を払えば、また私を引きながら店を出た。


彼は鼻歌を歌いながら本当に楽しそうに私とデート、をしている。



「あ、の。良真くん」


「どうしましたか?先輩」


「今度はどこに…」


「あ、今度はですね。僕の家ですよ」


「え…?」


「あ、いきなり抱いたりしませんから、安心してくださいね」


「じゃ、じゃあ、なにをしに…」


「僕の家、意外と金持ちらしくて、なんかまだ高校1年のくせにお見合いをさせてくるんですよ」


「…じゃあ私は、その面倒ごとの一時の救済措置ってこと…?」



もしもそうなら悲しくて仕方がない。今はまだ彼を好きでもないけど、もしもそうなら泣いてしまいそうだ。

私は弱すぎる。なんて1人で考えていた。


すると、急に彼の足が止まった。かと思えば、近くの路地へと引かれた。

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