第5話

「ね、先輩。いいですか?俺の彼女になってくれますか?」



さっきまでのだるそうな表情と声とは違い、甘さと重さを帯びている彼。



「な、なんで私が…」


「一目惚れってやつですよ」


「ひ、一目惚れ…」


「はい。考えておいてください。顔は覚えました。それに名前も覚えました。遠藤ゆず(えんどうゆず)、先輩。あ、僕は小野寺良真(おのでらりょうま)です」


「ち、近い」



彼は自己紹介をするなり、私の髪に触れて話し出す。



「ふっ。先輩初心ですね。とても可愛らしいですよ」


「せ、先輩を揶揄うもんじゃないからっ」


「照れていてとても可愛らしい…」


「て、てか!用事があるんじゃなかったの!?」


「あー、朝です。だから問題ないですよ」


「う、嘘!?」



まぁ、確かにあの状況ならそう言いたくもなるか、、、。なんて、自己解決をしていると。



「先輩は今から用事ありますか?」


「い、いや?」


「じゃあ、今からデートしましょうか」


「えっ」



と言われ、いきなり腕を引かれ、有無を言わせることなく2年生のフロアまで連れて行かれた。

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