化け物たちの番

@sige02

第1話 プロローグ

十数世紀前から世界各地による悪魔と人間の戦いが続いており、日本も例外ではなく妖怪と言われてる類の化け物を倒す人々がいた。


だが近年の情報化の発達に伴い悪魔たちの勢力が大幅に拡大することとなる。


なぜなら、それまで隠ぺいされてきた情報が隠しきれず人々に伝わり、人々の恐怖が悪魔たちの力となったのだ。


1980年、日本国内で大規模な悪魔による大量虐殺事件が発生した。場所は秋田県秋田市の深夜ヒュドラと呼ばれる神話の生物が突如として現れた。


深夜に悪魔は強くなるが、常に数百人単位の死亡者であったが、今回の事件は桁が違ったのだ。推定十万人規模の死者が出たと言われており、遺体や建物すらもヒュドラの魔法により全て消し去ってられていた。


日本から古く存在する対魔人が総力をあげてヒュドラを討伐した。


多くの対魔人が命を落としたため、国は対魔人の存在を公にし1990年代に入ると国家主導での退魔組織づくりが日本及び世界各国で進められた。


日本においては対魔省と言われる組織が設立された。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 私は恐らく転生してと思う。というのも前世の記憶が途切れ途切れであり、断片的すぎてあまり分かっていない。


例えば、初めて見た物が見たことあるって感じになる、所謂デジャブみたいな感覚だ。


転生先は、古くから存在する対魔人の家系である。


性別は前世の男から女になってしまい、家系では珍しく無能力者として生を受けた。


私は能力が全く使えず呪力を持っていないので、術式を使えない。


家の相伝術式は、相手の能力を無力化すると言うものみたいだ、凄く強そうだ。


家族構成としては、父と兄二人がおり、母は病気により他界してしまった。


古くから続く家系だからか少し変わった慣例がいくつかある。


一つ目は、私の家には数百年前から色欲の悪魔である『アスモデウス』が封印されていると言われており、父や兄達は封印の維持を年始に行っていた。


二つ目は、封印を行う者は必ず男でなければならないため、封印されている洞窟と山には女である私は近づいていけないみたいだ。


三つ目は、私の家では剣術を中心に修行をしているため、対魔人の才能がない私も修行しないといけない。これだけは才能があるみたいで、能力無しなら父達よりも強い自信があった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「姫香、今年も全中剣道大会優勝おめでとう、これで三連覇になったな」


中学三年の夏に父が私を撫でながらも褒めてきた。


「ありがとう!呪力はないけど、剣術なら誰にも負けないよ」


「そうだな、俺達兄弟二人で掛かっても負けるしな」


「あぁ、剣道小町と言われてるだけはあるよな」


兄達もお祝いの言葉を私に伝えてくる。


私は巷で剣道小町と言われており、かなりの美少女と世間では言われている。


転生して何も能力無かったけど、顔だけは良かったようだ。


「ふふ、それならお祝いに何か買ってよ、沢山稼いでるんでしょ」


私は兄達が対魔人の稼ぎが凄いことを知っていた。


「あー、なら服とか買いに行くか?」


「いやいや、下着の方がいいじゃないか?」


「下着で思い出した…私の下着勝手に持っていくの止めてよね。自慰行為は他のオカズ使ってよね二人とも」


私の下着が何枚か行方不明になっているので、兄たちの部屋を探したら枕の下にあったのだ。


前世の知識から男の体液だと直ぐに理解してしまい、変なところで前世知識が役に立ったのだ。


「お、お前らそんな事しているのか!!」


父は私に溺愛しているので、シスコンな兄達に厳しい。


「ひ、姫香!今言わなくていいだろ!」


「お、俺は違うぞ。友人に売っただけだ!」


「尚の事悪いわ!息子よ、その友人を俺の前に連れ出してこい!!」


父は怒りの余り呪力が身体から湧き出ていた。


呪力が出せない私のような一般人でも呪力は感じれるのだ。


「じゃ、シスコンお兄ちゃん達たっぷり絞られてね!」


私はそう言い終えると逃げるようにして、兄達の叫び声を聞きながら道場から部屋に移動した。

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