へんたい!!
珈琲飲むと胃が痛い
第1話
噎せ返る程濃い緑の匂い。深い深い森の底。すっうと呼吸をすれば緑の匂いに混じる嫌な匂いに気が付くだろう。ただここにはそんな風に呼吸をする者はいないし、その匂いを気にする者はいない事くらいか。どちらかと言えばその匂いを好むモノばかり。
きちりきちりと音がする。
肉を食む音が響く。肉を食んでいると言うのに聞こえる音は、水気の孕んだものでなく、どこか乾いた音。音が鳴るたびに命が尽きる。一つ二つと数えるならば気が遠くなる程の数を数えねばならぬ。底に溜まる命、光る眼は数千、数万、いや億を超すだろうか。
底は大鍋。まるで具材がとろとろに溶けたスープを作る様に時間かけて煮込まれていく。いくつもの命が混じりあい、次第に一つになっていく。
そんな大釜をかき混ぜる魔女達は歓喜する。目の前に現れたそれに。
一人はその腕を与え息絶える。
一人はその脚を与え息絶える。
一人はその頭を与え息絶える。
一人は……
最後に残った魔女が与えたのはその胎。喰われ穴の開いた大きな胎にそれを迎えて息絶える。くるりと纏う純白の糸は幾重にも重なり絹の様。愛し赤子を包む衣に、魔女は手を伸ばし一撫でして息絶える。
愛しい子…… どうか無事で生まれます様に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます