第8話 怜の悩み…?
「テストやだー!助けて怜えもーん!」
私はそう言いながら怜に泣きついていた。
「やれやれ…なんでそうギリギリまで亜鈴は勉強しないんだい…?」
「だってぇ…めんどくさいんだもん…」
「それで痛い目を見るのは亜鈴なんだけどね…」
「うにゃあ…」
私と怜がそのようなやり取りをしていると、隣でスマホをいじっていた玲奈が会話に入ってきた。
「ここのテストってそもそもかなり勉強しておくことが前提だった気がするから、結構ちゃんとまずいんじゃない?亜鈴ちゃんほんとに大丈夫?」
「なんで私のことをちゃんと呼ぶの…? それはさておき、ほんとにまずそうなんだよー!玲奈さんも私のこと助けて〜!」
「うーん、亜鈴ちゃんの頼みなら、できる限り助けてあげたいんだけど…」
そう言いながら、玲奈は困ったような顔をして怜の方を向いた。
「あんまり亜鈴ちゃんを甘やかしすぎないようにって怜くんに釘を刺されているから、申し訳ないんだけどある程度勉強を教えてあげるってくらいしか出来ないんだよね…」
「このままだと亜鈴がダメになっちゃいそうだったからね、事前に策は打たせてもらったよ。」
そう言って怜は輝く笑顔を見せた。
「にゃあ…しょうがない、今から頑張りますか…」
「でも亜鈴ちゃん、テスト今日の朝からだけど間に合うの…?」
「うーん、わかんない!でもなんとかする!」
「うーん、何も根拠はないはずなのに、この亜鈴を見てるとなんとかしちゃいそうって思っちゃうよね。」
「ですねー。普通の人が言っても不安しかないのに、なぜか亜鈴ちゃんがいうとなんとかしちゃいそうっていう気がしちゃいます。」
なんか全然助けてくれない二人が何か言ってるような気がするけど、ひとまず気にせずに頑張ることにした…
ーテスト後
「にゃあ…」
私が突っ伏していると、怜と玲奈が近づいてきた。
「お疲れ様ー、亜鈴は…微妙だったみたいだね…」
「亜鈴ちゃんお疲れ様ー!はいこれ、お菓子だよー」
「ありがとうー、なんか今回のテスト、すごい難しくなかった?」
「まあ、仮にも進学校だしね。」
「確かに難しかったような気はしますね…私もあんまり解けなかったかもしれないです。」
「やっぱり難しかったよね!?まあいいや、今日は終わったし、3人でどこか遊びに行こ!」
「あー…ごめん、ボクはこの後ちょっと用事があって今日は難し…」
「私は亜鈴ちゃんと一緒にどこにでも行きますよ!」
「なんでもないよ、さあ亜鈴、一緒に行こうか!どこに行く?」
「…?ほんとに大丈夫?私のために無理してくれてない?」
「大丈夫だよ、今日中にやらないといけないものはすでに全て終わらせているしね。」
さらっとそういうことを言ってのける自慢の親友であった。
「じゃあ商店街に食べ歩きにでも行こう行こう!もうお腹すいちゃったんだよね。」
ー商店街にて
「亜鈴、流石に食べ過ぎじゃないかい…?」
「もうー、亜鈴ちゃん、食べ過ぎですよー。」(ほっぺをそんなに膨らませて頬張って…
美味しいものいっぱい食べてる亜鈴ちゃんも可愛いなあ(ボソっ)
「そうかなー?(もぐもぐ)あと、私は女の子じゃないんだけど、なんでちゃん呼びなの…?(もぐもぐ)」
「まあ、確かに亜鈴、割と行動可愛いからなあ…」(ボソっ)
「亜鈴ちゃんは言動が可愛いからね!仕方ないよね!いっそのことみんなで亜鈴ちゃんをちゃん呼びさせるのを流行らせよう!」
「やめて〜!」
そんなことを話しながら過ごしていると、いつの間にか日が暮れていた。
「日が暮れちゃったねー、今日はもう帰ろっかー。」
「そうだね、もう暗いし、ボクが亜鈴を送っていくよ。」
「私はここからだと帰り道が反対なので、ここでお別れですねー。またねー!」
「バイバーイ!」
「お疲れ様ー」
そして玲奈と別れて、私と怜は二人で帰路に着いた。
道中、怜は少し思い詰めたような顔で私に質問してきた。
「ねえ亜鈴。もしも、もしもの話だよ?ボクが誰かを好きになったとして、ボクと仲がいい他の人も同じ人を好きになったとする。そして、ボクがその人に選ばれる可能性は低い。そんな状況で、ボクは身を引いた方がいいと思うかい…?それとも、好きなままでいてもいいと思うかい…?」
「うーん」
私は続けた。
「怜が何を悩んでるかなんて私には分からないけどね。そもそも怜に好かれて嫌な人なんていないと思うけどさ…
その上で答えるけど、人を好きになるなんていうのは誰しもが持つ当たり前のものなんだし、諦める必要なんてないと思うよ。確かに、結果としては叶わない恋だったのかもしれない。ただ、自分には相応しくないからなんていう理由で諦めるべきではないと思うよ。 そんな理由で諦めちゃったら、絶対に後々後悔しちゃう。自分が絶対に納得できる、後悔なんてしない!っていう自信があるのであれば諦めてもいいとは思うけど、そうじゃないならその恋心を捨てることなく、その子に振り向いてもらえるように頑張った方がいいんじゃないかなあ…」
そう話すと、珍しいことに怜が少しポカン…という顔をしていた。しかし、すぐに表情を改めると、何か憑き物が落ちたような顔で、ニカっと笑った。
「ありがとう…やっぱり亜鈴は頼りになるね。流石ボクの親友だよ。」
「どうした急にー?…とにかく、何か助けになれたなら良かったよ。普段は怜に助けてもらってばかりだしね!」
「いいや、亜鈴はいつもボクを助けてくれているじゃないか、今日もこうやって、ボクの悩みをあっという間に解決してくれた。ありがとうね。」
「いいってことよー!」
そしてその後は二人で仲良く話をしながら家まで帰ったのであった。
小鳥遊亜鈴の愉快な日常 鈴音 @Abel1564
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