馬車での道のり
それから、二週間程が経った頃。
私は、アルト様の実家である隣国のヴィスタ国にあるレクシア公爵家を訪れていたはず。
「リーネ、俺から離れないで・・・それとも、離れられないようにもっと強く抱きしめようか?」
そう仰って私を抱きしめる手にアルト様はさらに力を込めた。
「次の賭けでリーネが負けたら、俺と結婚して」
何故、このような状況になっているのか。
物語は、半日前に
アルト様の実家であるレクシア公爵家に向かう馬車をアルト様が手配して下さった。
しばらく馬車に揺られ、先ほど私たちは国境を超えて隣国であるヴィスタ国へ入国した。
「あと数時間でアルト様の実家であるレクシア公爵家の屋敷に到着しますけど、アルト様は久しぶりの帰省なのですか?」
「いや、学園の長期休暇は実家に帰るようにしている。母が会いたいとうるさくてな」
「・・・・・・」
「何だ?」
「ふふっ、いやご家族と仲がよろしいのですね。何だか、私まで嬉しくなってしまいますわ」
私が嬉しくて笑ってしまうのを、アルト様がじっと見つめている。
「・・・何ですの?」
「いや、リーネの笑顔はどれだけ見ても飽きないものだな」
「っ!・・・アルト様はクールを
「・・・?リーネにだけだが?」
「それが甘すぎると言っているのです!」
私が頬を膨らませると、アルト様が悪戯っ子のように微笑む。
「まだ屋敷までは数時間かかる。眠ってもいいんだぞ。・・・・肩を貸そうか?」
「結構ですわ!」
私はそう述べて、窓の外に目を向ける。
窓の外は、隣国ヴィスタ国の美しい景色が広がっていた。
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