魔王の娘の軌跡

@iria50

第1話 始まりの日

その日の夜は、今でも頭から離れない。

お父さんから「おつかい」を頼まれて、苦労して終わらせて、帰ったらお父さんに褒めてもらうために。

いつもより早く終わらせてきたのに。

どうして? 

帰る途中で城の方向に炎が見えて。

慌てて城に着いたら。

…誰かの声が聞こえて。

『やった!ついに悪の魔王を倒したぞ!』

…どうしテ?

…その光景は信じられなかった。

知らない男の人が、お父さんの胸に、剣を突き刺していて。

………誰かの悲鳴じみた声が聞こえる。

……違う。これは私の声。

「いやああああああ!!お父さん!!!」

…お父さんはこっちを見て………

小さく微笑んだ。

『……ごめんね、■■■』

そして目を静かに閉じた。

…お父さんを刺した男の人は、何故かこっちに気づいていなかった。

『は…ははは…ついに…ついにやった…!』

………「許さない。」

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許サナイ!!

……何故か冷えた頭で、考える。

今のままでは勝てないだろう。だから。

今は、逃げるんだ。…許さない。だからこそ。今は。我慢して我慢して我慢シテ。

「…絶対に許さない……。」

この夜に、そう誓ったから。








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