第31話 「笑顔」の裏側
笑顔は、周りを安心させる力を持っている。だからこそ、私は日常の中でできるだけ笑顔でいようと心がけている。職場でも、家族の前でも、友人といるときでも、笑顔でいれば場が和み、みんなが心地よく過ごせると思っていた。でも、時々ふと、笑顔の裏側に隠れている自分の本当の気持ちを見失っていることに気づく。
笑顔を作ることが習慣になると、自分が本当にどう感じているのかを考える時間が減ってしまう。辛いときや悲しいときでも笑顔を作ってしまうと、その感情が心の奥に押し込められ、自分でも気づかないまま蓄積されていくことがある。笑顔は外向きの表情だけれど、心の中では違う気持ちが渦巻いている。そんなとき、笑顔が自分自身にとっての仮面のように感じることがある。
もちろん、笑顔が悪いわけではない。笑顔は、自分を励ます力も持っているし、周りの人に安心感を与えることもできる。だけど、笑顔ばかりを優先していると、本当に助けが必要なときにそのサインを見逃してしまうこともある。自分の心が疲れているときや、本当は「助けて」と言いたいときに無理をして笑顔を作ると、そのギャップに苦しむことがあるのだ。
最近は、笑顔だけに頼らず、自分の心の中をきちんと見つめることを心がけている。無理に笑顔を作るのではなく、素直な気持ちを大切にすることで、自分自身が少しずつ楽になることに気づいた。辛いときには辛いと言葉にし、疲れているときには休むことを選ぶ。それが、心のバランスを保つために必要なことだと感じる。
本当の意味での笑顔は、心が安らぎを感じたときに自然と生まれるものだと思う。作り笑いではなく、心からの笑顔が出せる瞬間を増やすためには、自分の気持ちを無視せず、大切にすることが大切だ。それは、自分自身と向き合う時間を持ち、心の疲れを癒すための小さな努力の積み重ねかもしれない。
これからも、自分の笑顔を大切にしながら、その裏側に隠れている気持ちにも目を向けていきたい。無理に笑顔を作る必要はなく、本当に心から笑える瞬間を見つけられるように、少しずつ自分を整えていきたいと思う。心と笑顔が一致する瞬間こそが、私にとっての本当の幸せなのかもしれない。
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