俺の世界は、何があるの?
星咲 紗和(ほしざき さわ)
第1話 不安という名の影
朝目覚めた瞬間、心の奥からじわじわと広がる不安が、体全体を包み込む。理由もなく、ただそこにある。その不安は、まるで影のように私の背後にぴたりと寄り添い、どこへ行っても離れようとしない。仕事に行く準備をしながらも、ふとした瞬間に感じるこの感覚が、今日一日をどんなふうにしてしまうのか、想像して身構えることしかできない。
幼い頃から、この不安はずっと一緒だった。新しい環境や、知らない人たちとの出会い。そんなときに感じる胸の締め付けるような感覚。大人になっても、それは決して薄れることはなく、むしろ時間をかけて根を張り、心の深いところに居座り続けた。
自分が障害者であると知ったとき、それは一つの解答でもあった。ずっと自分が「普通じゃない」と感じていた理由が、初めて言葉として形を持った瞬間。だけど、それが解答であると同時に、新たな課題でもあった。この不安は何なのか、どう向き合えばいいのか。自分が抱えているものをどう受け入れ、どうやって生きていけばいいのか。
不安と共に過ごす日々は、まるで霧の中を歩くようだ。目の前がぼんやりと曖昧で、どこに進めばいいのか分からない。それでも、ほんの少しでも進んでみようと足を踏み出す。時折、霧の隙間から射し込む光が、進むべき道を示してくれることがある。そんな一瞬の希望に支えられながら、今日もまた歩き出す。
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