第9話

ぴちゃっぴちゃ(水の音)


先ほどまで雨が降っていたため、割れたコンクリートの間や凹んだアスファルトの部分に水が溜まっている。それに周りの建物の中からは、水の雫が落ちる音が所々から聞こえてくる。


R「うんしょっと!」


外に置いてあった凹んだ鍋を持ち上げて拠点の中に入れ、鍋の中の水に埃や砂が混じらないように新品のタオルを取り出して被せておく。


R「これでとりあえずはよしっと、それじゃぁまずは木の枝でも集めてきましょうか......。」


寒い夜に向けて私は、周りの建物の中に入ってから、何か使えるものが無いかを探しながら木の枝を集めていく。先ほど雨が降っていたこともあって、床に落ちている枝や雨にされされていた枝は濡れていたり、湿気ていたりして使えない。

そのため、壁を這うように成長している濡れていない木の中から枝を折って集めていく。


R「うーん、しょっと!」


なかなか丈夫に生えていて木の枝を集めるのがとても大変だった。ナイフを使いノコギリの様にして木の枝を切って集めてはいるが、なかなか切るのが難しくて時間がかかってしまうし、疲れてしまう。


R「あ.......あれを持ってこようかしら?」


私は昨日の朝、探索した時に服屋の二階に中身はボロボロで使えないため無視して持ってこなかった段ボールが大量にあったのを思い出す。


R「あれなら燃やせるし、ちょうど良いわよね。」


パリン(ガラスの割れる音)

R「ふぅ......、危なかったわ。」


急いで向かい側の建物にやってきた私は、地面が濡れているためコケで滑りそうになったのを何とか耐えて慎重に立ち上がると、二階に進んで行く。


R「うわぁ..........。」

ぴちゃ.......ぴちゃ......(水の落ちる音)


二階にやって来た私は、天井のひび割れたコンクリートの間から水が滴り落ちて、空気も湿気ていてまるでホラー映画のワンシーンのような光景が広がっているのを目にする。


R「ふぅ......誰かいるわけがないわよ。」

キィィイ(ドアの開く音)


昨日大量に段ボールが積んであった部屋を慎重に開けた私は、段ボールの束を見つけてそれを掴み一階へ降りる。


R「な、なんてことないわね。」

R「それに.......誰かいてくれた方がむしろよかったかも......。」


なんて、気弱になりそうになった自分を励まして一度段ボールの束を持って拠点に戻る。

これで、大量に木の枝と段ボールが手に入ったのだから、暫くの間は燃やすものに困らない事だろう。


気が付けばいつの間にかだんだんと辺りが暗くなってきていたため、急いで私は火を起こして明かりを確保する。私の感覚的には、まだ明るい時間帯だと思っていたのだけれど、外は曇っていて今太陽がどの辺りなのかは、分からないし真っ暗になったら探索どころじゃないので、今日はこの辺で切り上げる。


結局、今日は雨のせいもあってあんまり探索どころではなかったけど、鍋が手に入ったのだし良しとしよう。

それに、昼に食べた缶詰も意外と大丈夫そうで食料の面でも安心できた。

火を起こした私は、昼に開けた缶詰のカンパンを食べながら、タオルを掛けてあった鍋を取り焚き火の近くに置いて温める。


パチパチ(焚き火の音)


水の中に、灰が入ったりしたけど、沸騰させることには、成功したし水は飲む事が出来そうで安心した。


R「明日は、かまどもどきでも作らなきゃならなそうね.....。」


そんな事を考えながら、私は疲れたため毛布を被って眠りについたのだった。


<寝る前にノートに書いた日記>

- 3日目 -

今日は、雨のせいであまり探索する事は出来なかったわ。

でも、念願の鍋を手に入れる事が出来たから、飲み水にはこれで困らないかも!

それに、不安だった缶詰の中身も大丈夫そうで安心した。これで食べ物に、しばらく困らなさそう......。

って言ってもそこまで余裕があるわけじゃないし、安心は出来ないのだけれど、これからも食べられそうな物は探して持って帰っていこうと思うわ。

それから.....朝のあれは、何だったのかしら?

緑でふわふわで、廃墟の街を飛び回ってて、肌に触れそうになったら凄く縮んでポンって大きくなってびっくりしたわ。

取り合えず、害が無さそうで安心したんだけれど、あんな意味の分からない生物がいるんだし、油断できないかも.....。

とりあえず、今日はあんまり遠くに行ったりできなかったし、探索もできなかったから、明日晴れたら遠くまで行ってみようと思う。それに、今日も人には出会えなかったし........。

それから、綺麗な飲み水を確保するためにも、拠点にかまどを作らないとね......。


<持ち物>

巨大なリュックサック

in[ノート1冊、筆記用具(シャーペンと消しゴムのみ)、水の入ったペットボトル1本、栄ヨーバー2本、マッチ1箱。]

空の缶詰:1缶

栄ヨーバーの袋(ゴミ)

サバイバルナイフ

汚れたバターナイフ2本

汚れたフォーク2本

汚れたスプーン3本

マッチの箱1箱:45/50 (使用中)

バスタオル1枚 (使用中)

タオル2枚 (使用中)

懐中電灯:0/500

スポンジ:2個 (未開封)

スポンジ:1個

1缶:賞味期限:2028/08/11 カンパン100g (未開封)

1缶:賞味期限:2023/01/01 フルーツミックス! (未開封)

1缶:賞味期限:2028/09/12 サバっと缶 水煮 (未開封)

1缶:賞味期限:2025/12/01 ウマっとコーン (未開封)

1缶:賞味期限:2027/08/20 カンパン50g (未開封)

1瓶:大きな瓶に入ったお酒?1000/1000 (未開封)

※ラベルが剥がれているためお酒っぽいという事しか分からない。

水の入ったペットボトル1本:63/100

※沸騰した水をなんとかこぼしながらも入れる事が出来た。

空のペットボトル1本:0/100

匂いのヤバイペットボトル1本:0/100

キッチンを美しく!:???/80

綺麗な凹んだ小さな鍋:0/193

錆びたバケツ

in[錆びたハサミ2個、錆びた針12本]

大量の木の枝 New

段ボールの束 New


現在時刻:夜(?)

外の天気:曇り。

気温:寒い(?)

健康状態:健康。

本作の主人公:R = Reiseライゼ

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