学園下水道に聖剣を流すなかれ!

バショウ科バショウ属

始祖の勇者は斯く語りき

 人々を脅かす魔族が現れてから百年。

 これまで魔族を退けてきた私に下った天啓が『後継者を育むこと』というのは前章で記したとおり。

 しかし、勇者というのは鋼のように鍛えれば良いというものではない。

 弱き者に寄り添い、悪を見極め、強い意志を持って聖剣を振るう。

 つまり、常人以上でなければならないのだ。

 ここで初めてエインスワース勇者学園は登場する。

 勇者学園とは、将来有望である少年少女を勇者に育て上げるため設立した一大教育機関だ。


 ――中略――


 学園の運営には並々ならぬ苦難があった。

 国庫に匹敵する私財はあったが、種族や階級の軋轢に悩まされ、広大な敷地は見つからず、人材は常に不足していた。

 だが、最も深刻だった問題は、間違いなく下水だ。

 エインスワース勇者学園は新式の城塞都市でも滅多に見ないほど人口が過密となる。

 下水の整備なくして清浄な運営は不可能であった。


 ――『始祖の勇者エインスワースは斯く語りき』第2章より抜粋。

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