第10話 恋愛小説とは?
そういえば、このコンテスト恋愛小説なんですよね(笑)。
全く恋愛の要素について語っておりませんでした。
ヒーロー役である源 光彰が紫焔の相手役であることは、先に述べました。
私は、あまり恋愛小説を読まないので、最近主流の恋愛小説とは、かなり方向性が違っていると思います。
今まで読んだ恋愛小説で感動したのは、『トリスタンとイゾルデ』『冷静と情熱のあいだ』『嵐が丘』『君に読む物語』『自負と偏見』……誰か伝わる?|д゚)チラッ
『自負と偏見』以外は、どれも悲恋💦
『ナラタージュ』と『君の膵臓をたべたい』は合いませんでした。。
『冷静と情熱のあいだ』は、作者が二人いて、赤い背表紙と青い背表紙の二冊あり、両方とも読んでいます。映画化もされていますよね。
男目線で綴られた青い背表紙と、女目線で綴られた赤い背表紙。
そのどちらも、別れてしまった過去の恋人を想う描写で埋め尽くされていて、二人が実際に絡むシーンはありません。
それでも、お互いを想う気持ちが痛いほど伝わってくるのです。
本編『鬼姫は月夜に恋ふ』では、紫焔がヒーローの光彰と絡むシーンは、5シーンくらいだったかな?
(出会い、月下での再会、探偵パート、鬼を斬るシーン、最後の戦闘シーンと接吻シーン)
単純に他のミステリーやコメディや後宮ドラマ要素が多いので、これが限界だったというのと、いわゆる乙女ゲー的な目線で、どの男とくっつくの?というドキドキ感も味わってもらえたらな、という思いがありました。
その代わりに、光彰と離れていても、ちょっとしたことで光彰を思い出したり、紫焔が彼を気に掛けている描写をちょこちょこ入れたつもりでいます。
私の中で、恋心とは、相手と離れている間に育つもの、なんだと思います。
ただ、そこがちゃんと読者に届いているかは分かりません(;゚∀゚)
=▼本編から抜粋。==============
(そうか……私のことを探しておったのか……)
口の中に、瑞々しく甘い桃の味が蘇る。
ふと気が緩むと、思い出してしまう。あの桃の園で出会った、不思議な空気を持つ男のことを――――結局、名前を聞くことも出来なかった。
(※「第八話 鬼姫、天都の鬼に会う。」より)
🌸*🌸*🌸
「めぐり逢ひ かかる雲なき 夜半の月 陰りて時が 止まりけり」
「きゃ~~~!! なんて過激な恋の歌でしょう♡」
「え……恋?」
「そうよ! 雲が一つもないのに陰るってことは、そのぉ~……つまり……あれでしょう? 殿方の顔が私に近づいて……きゃ~~~♡ 潔子、恥ずかしくて言えなぁ~い♡♡」
「そっ、そういう意味ではないっ、これは……」
(恋? 恋だと? まさか私は、光彰に恋しておるというのか……?)
(※「第十四話 鬼姫、歌を詠む。」より)
🌸*🌸*🌸
(光彰も……そうなのだろうか……)
平 秀好の見目とは違う、光彰の端麗な容姿を頭に浮かべてふと思う。秀好が池に泳ぐ鯉だとすれば、光彰は清流の中を泳ぐ鮎だ。きっと周りの女子たちが放ってはおかないだろう。そう考えて、何となく胸の内がもやもやとする。
(※「第十五話 鬼姫、恋文をもらう。(壱)」より)
🌸*🌸*🌸
「ふふっ。それ、例の時月の君へ渡すのでしょう?」
「時月の君? ……なっ、あれは違う!」
私が先日、歌合の時に詠んだ
今でもあの夜のことを思い出す度、胸が騒ぐ。それでも、あれが恋なのかどうかと聞かれても、正直なところまだよく分からない。
光彰のことが気になる気持ちは認める。あの男を前にすると、何故か平常心ではいられなくなる。あれは、月の光だけが原因ではないのだろう、と思う。
でも、このまま光彰の手を取ってしまえば、何か自分の中から大事なものが奪われてしまうような気もするのだ。それが何なのかは、まだ分からない。
「その香り……時月の君を想って、作ったのでしょう? 渡さなければ、もったいないわ」
潔子に言われて、私は手にした
孝子から、好きな香りを混ぜて好きなように作って良いと言われたので、あの夜、光彰の腕の中で匂った香りを思い出しながら作ってみたのだ。あの匂いだけは、嫌いではない。
光彰が纏っていた匂いと全く同じとは言えないものの、何度か作るうちに自分でも、近しいものを作ることが出来たと思っている。
(これを渡せば、光彰は喜んでくれるだろうか……?)
光彰が喜ぶ姿を思い浮かべて、胸がぽっと熱くなる気がした。
(※「第十五話 鬼姫、恋文をもらう。(壱)」より)
🌸*🌸*🌸
光彰からの文には、これまで自分の生まれについて黙っていたことを詫び、私のことを気遣う想いで溢れていた。
秀好が送ってきたような艶めいた内容ではなかったが、そこには光彰の誠実さと優しさが浸み込んでいるような気がして、それを読んだ私の胸は熱くなった。光彰が私のことを考えながらこの文を書いてくれたのだと思うと、嬉しくない筈がない。
だが今の私には、この文への返事を書くことが出来ない。自分の気持ちを言葉で表すことが、こんなに難しいことだとは知らなかった。
吉綱は、文だけ置いて戻って行ったが、そのうち返事の催促に来そうな勢いだった。
(どうしたものか……)
(※「第十六話 鬼姫、宮中殺人事件の謎を追う!」より)
🌸*🌸*🌸
〝新王〟という言葉に思わず反応してしまう。私のコレは、一体何という病気だろうか。
(※「第二十話 鬼姫、求婚される。」より)
🌸*🌸*🌸
(もう、私には関係ないのにな……)
光彰の顔が頭に浮かぶ。決して、もう交わることのない関係だとしても、どうしても頭から切り離すことが出来ないでいた。
この気持ちを〝恋〟と言うのだろうか。
光彰は、あれから毎日私に慰めの言葉を文にしたためて送ってくれている。どうやら私が、友である孝子を失い、落ち込んでいると思っているようだった。
けれど私は、一度も光彰に文を返していない。
このまま正体を隠し通すのは難しいと思っていたし、例え隠し通せたとしても、一体どんな顔で光彰の隣に立っていればよいというのだろう。ためらいもなく鬼を斬る、と言った男の隣に……。
(清澄にも常則にも申し訳ないが……私はもう、天宮にはおれぬ……)
何一つとして目的を果たせないばかりか、孝子を救うことすら出来なかった役立たずな自分を、私は許せない。
それに、決して結ばれないと分かっていて、光彰の近くにいるのは辛すぎる。
(※「第二十一話 鬼姫、舞い、そして散る。」より)
====================
いかがでしょうか?
紫焔の恋心、伝わっておりますでしょうか?
皆様のご見解&ご意見を参考にコメント頂けましたら、大変嬉しいです(*ᴗˬᴗ)
次回以降は、登場人物&天都の設定集についてで〆ようかと思います!
最後に本編へのリンクを以下に貼り付けておきます。
📖『鬼姫は月夜に恋ふ』(本編)
⇒https://kakuyomu.jp/works/16818093084547729539
ご興味があれば、お読み頂けると幸いです。
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