第32話
ギルドマスターのイリオスからの指示で、俺たちはカルト教団の拠点を探ることになった。
しかし、今回は俺たちだけではなく、リリスとノエルの父であるエルフ、ダークエルフの族長から派遣された増援も共に行動することになった。
「この状況では、我々だけでは力不足だ。アンデッドの数が異常だ。各族からの精鋭を集め、共に対処するしかない」
イリオスが冷静に状況を把握し、的確に指示を出していた。
リリスとノエルの父である族長たちも、戦士たちを派遣し、儀式を阻止するために全力を尽くすことを決めていた。
「リリス、無事で良かったわね」
ハイエルフから派遣された増援のリーダーが、彼女に声をかけた。リリスは短く頷き、厳しい表情で答える。
「ありがとう。でも、今は危険な状況です。リッチエンペラーの封印が解かれようとしています」
「族長から、あなたを守るよう命じられています。我々も全力を尽くします」
リリスは頷きながら、指揮を執るイリオスに目を向けた。一方、ダークエルフの増援部隊も、ノエルに向かって声をかけていた。
「ノエル様、族長からの命令で参りました。我々はあなたに従い、この戦いを勝利に導きます」
ノエルは無言で頷き、その目に強い決意を宿していた。彼女は父親からの期待を背負いながらも、自分自身の誇りを胸に秘めている。
山脈に向かう途中、リリスがふと足を止め、辺りを見渡した。
「この魔力の流れ、強くなってきている…...儀式が進行している証拠だわ」
彼女の言葉に、俺は剣を握りしめた。目の前の山から黒い霧が漂い始め、嫌な予感がする。
「奴らの儀式が完了する前に、急がないと!」
イリオスの指示の下、俺たちは増援を引き連れて山へと進んだ。増援の精鋭たちは周囲を警戒しながら進み、異常な魔力の流れを感じ取っていた。
「リリス、ノエル、急ごう。増援がいる今が、儀式を止める絶好の機会だ」
俺は二人を励ましながら、山の奥へと進んだ。だが、周囲の空気はますます重くなり、アンデッドたちが姿を現し始めた。
「全員、準備しろ!」
イリオスの指示で、増援の戦士たちは一斉に武器を構えた。
エルフたちは弓を引き、ダークエルフたちは魔法の準備を整える。俺たちは最前線で戦う覚悟を決めた。
「リリス、俺たちは前線を押さえる!援護を頼む!」
俺が叫ぶと、リリスは頷き、光の魔法を放ちアンデッドたちの動きを封じた。
増援部隊の矢や魔法が次々とアンデッドに命中し、黒い影が地面に崩れ落ちていく。
「数が多い…...でも、このまま進むしかない!」
俺は剣を振りかざし、アンデッドの群れに突進した。増援のエルフとダークエルフたちも力を合わせ、アンデッドたちを次々に撃破していく。
山脈の奥にたどり着くと、巨大な石柱と祭壇が現れた。そこには、教団員たちが集まり、儀式を進めているのが見えた。
「ここが教団のアジトか!」
俺たちは増援と共に、教団のアジトへ突撃した。
リリスが魔法で儀式の結界を破壊し、俺たちは教団員たちと対峙することになった。
「儀式を止めるんだ!これ以上、リッチエンペラーの復活を許すな!」
イリオスが前に出て指示を飛ばし、エルフとダークエルフの戦士たちが前線を押し進めていく。
「儀式が完成する前に、叩くしかない!」
俺は剣を握りしめ、教団員たちに突進した。
増援の戦士たちも共に戦い、教団の力を圧倒していく。
だが、教団はアンデッドの力で強大な抵抗を続けていた。
「まだ終わっていない」
ギルドマスターのイリオスが戦況を見守り、指揮を執りながら、俺たちは教団との戦いを続ける。
アジトの奥にたどり着いた俺たちの前に、ネクロマンサー、リッチ、シーフスカルの3人の幹部が立ちはだかった。
アジト内部は薄暗く、無数のアンデッドが動き回っている。だが、俺たちはすでに増援を連れてきていた。
「リリス、ノエル、短時間でこの連中を倒すぞ!」
俺は周囲を見渡し、仲間たちに声をかけた。
イリオスをはじめ、エルフやダークエルフの族長たちが率いる精鋭部隊がすでに陣形を整えている。
「奴らを逃がすな。リッチエンペラーの復活を止めるためにも、この場で決着をつける!」
イリオスが冷静に指示を出し、各族長の増援が武器を構えて戦闘態勢に入った。
まず動いたのは、ネクロマンサーだった。
彼の手から暗黒の魔力が広がり、周囲の死者が次々とアンデッドとして蘇っていく。
しかし、すでにイリオスの指示で増援が彼に向かって一斉に攻撃を仕掛けていた。
「死者の力など、我々には通用せん!」
増援のエルフたちが光属性の矢を放ち、ネクロマンサーが召喚したアンデッドを次々と撃ち倒していく。
俺たちの前に立ちふさがるアンデッドたちは、ほとんど瞬時にネクロマンサーも無力化された。
「これでアンデッドは問題ない。リリス、ノエル、次はリッチだ!」
俺はリリスとノエルに指示を出し、リッチの動きを封じるために突撃した。
リッチは再生能力を駆使して立ち向かってきたが、ノエルの闇魔法とリリスの光の力が連携し、リッチの再生を妨害する。
「私が光属性を付与するわ!」
リリスが魔法を唱え、俺とノエルの武器に光の力を宿した。光の力がリッチの闇を打ち砕き、再生するたびに光がその肉体を焼き尽くしていく。
「これで再生も無駄だ!」
俺はクリムゾンブレードでリッチに連続して攻撃を加え、ノエルが暗闇の中から影を操ってリッチの動きを封じた。
最終的に、リッチは光の剣によって消滅させられた。
最後に残ったのはシーフスカルだった。彼はその素早い動きで俺たちを翻弄し、短剣で急所を狙ってきた。
「ついてこれるか?」
シーフスカルの攻撃は迅速で、俺たちが一瞬でも油断すれば命取りになりかねない。
しかし、イリオスがすかさず指示を飛ばし、増援部隊が素早くシーフスカルの動きを囲んで封じた。
「奴の動きを封じろ!囲め!」
増援部隊が素早く動き、シーフスカルの回避ルートを遮断。
リリスとノエルが再び連携して彼に一斉に魔法攻撃を仕掛け、俺がクリムゾンブレードで決定的な一撃を加えた。
「これで終わりだ!」
シーフスカルの身体が燃え上がり、彼もまた完全に消滅した。
幹部たちが次々と倒れる中、アジトの奥から教団のリーダーが姿を現した。
彼の目は異様な光を放ち、その背後にはさらに巨大な魔法陣が浮かび上がっていた。
「幹部が倒されたとしても、リッチエンペラー様の復活は止められん」
リーダーのアークリッチは冷たく笑い、手を広げて魔法を発動させた。闇の力がアジト全体を包み込み、増援の兵たちも一瞬たじろいだ。
「こいつは…...今までの敵とは違う!」
俺はリリス、ノエル、イリオスと共に再び武器を構え、アークリッチとの最終決戦に臨むことを決意した。
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