第13話

ゴブリンキングの猛攻をかわしながら、最後の力を振り絞って戦っていた。


  奴の動きが鈍ったとはいえ、まだ圧倒的な力を持っている。


 俺が一撃でも剣を受ければ、そのまま終わりだ。


 ゴブリンキングは怒りに燃え、最後の一撃を決めるために剣を振り上げた。


 大地が裂けるほどの威力。


 だが、俺はその一撃をかわし、再び奴の足元に斬撃を加えた。


 剣が振り下ろされるたびに、地面が砕け、衝撃波が周囲に広がるが、俺はそのたびに俊敏に動いて間合いを取った。


「もう一度…!」


 俺はファントムスピードを発動させ、素早く動きながら、ゴブリンキングの弱点を探る。


 だが、その防御はあまりにも固い。


 どれほどの攻撃を加えても、致命的な傷にはならない。奴の巨体はまるで城壁のようだ。


「くそ…!」


 体力は限界に近い。


 ゴブリンキングの攻撃を避けるたびに、全身が疲労で重くなる。だが、奴の動きにも疲れが見え始めていた。


 俺の攻撃が確実に効いているのだ。


 だが、もう一歩及ばない。


「これで終わりだ…!」


 ゴブリンキングが怒りに任せて再び剣を振り下ろした。


 その速度と威力は信じられないほどだった。


 俺は何とかその攻撃をかわし、逆に背後に回り込んでスティールブレードで傷つけた場所にクリムゾンブレードを叩き込んだ。炎が纏う刃で奴の背中に斬撃を加える。


「効いている…!」


 ゴブリンキングの背中に深い傷が刻まれた。


 だが、奴はそれでも倒れない。


 逆にその剣を振り返り、俺に向かって突き刺してきた。


 俺は寸前でかわしたが、剣の風圧で吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。


「がはっ…!」


 視界がぼやけ、全身に激痛が走る。


 立ち上がろうとするが、体が重く、動かない。


 ゴブリンキングがその巨大な体をゆっくりとこちらに向け、剣を振り上げた。


「終わりだ…カマキリ風情が!」


 その一言とともに、剣が振り下ろされる。


 俺は咄嗟にマナシールドを発動させたが、その防御すらもゴブリンキングの力には耐えきれず、剣が俺の肩に深く食い込んだ。


「ぐあっ…!」


 痛みが全身を貫く。


 だが、俺はまだ立ち上がる力を持っていた。


 何とか剣を押し返し、ゴブリンキングの一撃から脱する。


「まだ…終わってない…!」


 俺は傷だらけの体を引きずりながら、再び立ち上がった。


 ゴブリンキングも限界が近いのか、息を荒げながら俺を睨みつけている。


 お互いに限界を超えて戦っている。


 ここで一気に勝負を決めるしかない。


 俺は最後の力を振り絞り、擬態を発動させて姿を消した。


 ゴブリンキングは再び俺を見失い、剣を振り回して周囲を警戒する。


 だが、俺はその隙を見逃さず、素早く背後に回り込み、スティールブレードを全力で振り下ろした。


「これで…終わりだ!」


 刃が、ゴブリンキングの背中に深く食い込む。


 無数の炎がその体を焼き、奴の巨体がついに崩れ始めた。ゴブリンキングは低い唸り声を上げながら、剣を振り上げようとしたが、その体は動かない。


「まだ…まだ終わらん…!」


 ゴブリンキングは最後の力を振り絞り、剣を振り下ろそうとするが、俺はさらに追撃を加え、背中に二度、三度と斬撃を刻み込んだ。


 ついに、ゴブリンキングの体は力を失い、その場に崩れ落ちた。


「終わった…!」


 俺は全身の力を使い果たし、息を切らしながらその場に立ち尽くした。ゴブリンキングの巨体は動かず、完全に力を失っている。勝利したという実感が、ようやく俺の中に広がっていった。


 しかし、まだ気を緩めるわけにはいかない。


 ゴブリンキングが完全に動かなくなるのを確認し、経験値が貰えたことを確認し俺はその場を離れ、少しでも安全な場所に移動した。


 全身が痛みに包まれ、体力も限界に達しているが、俺は生き残った。


「これで…やっと終わりか…」


 名前:ヴァルカ・マンティス

 種族:カマキリ

 レベル:120 / 160

 ランク:B


 基本ステータス


 •HP:25,000

 •MP:8,000 / 8,000

 •攻撃力:14,500

 •防御力:9,200

 •素早さ:12,500

 •スタミナ:10,000

 •知性:7,000


 スキル


 攻撃スキル


 1.斬撃 Lv6

 2.風魔法 Lv6

 3.クリムゾンブレード Lv4

 4.スティールブレードLv5

 5.スペクトラルスラッシュ:Lv3


 補助スキル


 1.ファントムヒール Lv4

 2.ファントムスピード Lv6

 3.ブラッドリジェネ Lv4

 4.気配感知Lv2

 5.危機感知Lv1

 防御スキル


 1.マナシールド Lv5

 2.魔法適用 Lv2


 特殊スキル


 1.擬態 Lv7

 2.人化Lv2


 ゴブリンキングの死体を見下ろしながら、俺は深く息を吐き出した。


 これまでの戦いがようやく終わったという安堵感が、体を包み込む。


 だが、俺はこの戦いが終わりではないことを理解していた。


「まだ…先がある、ゴブリンとは違う気配がある、敵意はないな」


 俺は自分にそう言い聞かせ、痛む体を引きずりながら、その場を後にした。


 ゴブリンキングとの戦いは終わったが、この先に待つものは何なのか、まだわからない。

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