第7話

「進化したステータスを早速見てみよう」


 名前:スペクトラル・マンティス

 種族:カマキリ

 レベル:3 / 80

 ランク:C


 基本ステータス

 • 体力(HP):4365

 • 魔力(MP):1047 / 1047

 • 攻撃力:1549

 • 防御力:1047

 • 素早さ:1742

 • スタミナ:1240

 • 知性:998


 スキル

 • 斬撃:Lv6

 • 擬態:Lv5

 • スティールブレード:Lv5

 • スウィフトダンス:Lv5

 • マナシールド:Lv2

 • 魔法適用:Lv1

 • 風刃:Lv4

 • ファントムヒール:Lv1

 • スペクトラルスラッシュ:Lv1



「このステータスならCランク相手でもそう簡単もう負けないだろう、けど油断はできないな…」


 ゴブリンの巣の深部へと足を踏み入れる。足元に散らばる骨や武器の残骸が、この場所の過酷さを物語っている。周囲に漂う腐臭が鼻を突き、緊張感が一層高まる。


「よし、まずは1匹…」


 目の前に現れたのはゴブリンリーダーとその他ゴブリン数百体、全員が武具で武装し、リーダーはしっかりとした革の鎧をまとい、鋭利な剣を構えている。


 後ろに控えるリーダーと同程度の強さのゴブリンソードも気配を消しつつ、次の動きを伺っているのがわかる。


「さすがに数百体は無理か……いや、囲まれてるやるしかない!」


 まずは襲いかかってくる大量の多種のゴブリンを倒す。スウィフトダンスで自分の速度を一気に上げる。


 足元の土を巻き上げるように加速し、敵の間合いに素早く飛び込んだ。


 ひたすらゴブリンを切り刻み、ファントムヒールで回復し続けていると、ゴブリンリーダーが俺の疲労の無さに気付き、自ら戦いに来た。


 速度を上げて攻撃する、鋭い刃がリーダーの防御をかいくぐり、鎧の隙間に食い込む。


 しかし、リーダーはなかなかの耐久力を持っており、浅い傷しか負わせることができない。


「耐久力が高いな…だが、次がある!」


 リーダーの剣が勢いよく振り下ろされるが、スピードを活かしてかわす。横から現れたゴブリンソードがこちらに突進してくるが、即座に擬態で身を消し、リーダーの背後に回り込む。


「スペクトラルスラッシュ!」


 剣がリーダーの背中を切り裂くたびに追加のダメージを与え、徐々に体力を削っていく。リーダーが一瞬バランスを崩すその隙を逃さず、さらに風刃で畳みかけ、リーダーを地面に沈めた。


「1匹倒した…あと1匹!」


 次にゴブリンソードが猛攻を仕掛けてくる。短剣を振り回しながら巧みに攻撃を繰り出すが、俺は冷静に動きを読み、タイミングを見計らってマナシールドを展開。受けるダメージを最小限に抑えつつ、反撃に転じる。


「風刃!」


 風の刃がゴブリンソードを切り裂き、動きを止める。


「さらに風刃!二連発!、スティールブレード!……ふぅ…なんとか、二体とも倒せたか」


 倒したゴブリンの経験値が俺の中に流れ込み、わずかながら力が増していくのを感じる。


 Cランク相手でもかなり余裕ができたが、これからも気を引き締めて次の戦いに備える。


「まだまだ先は長いな…ゴブリンの数も把握できてないし、一体ずつ確実に減らしていくしかない」


 俺は、次の一歩を踏み出すたびに、奥に進むとさらにゴブリンたちの気配が濃くなっていくのを感じた。


 先ほどの戦いで体力と魔力を多少消耗したとはいえ、まだまだ戦える。しかし、洞窟の奥深くには、さらに強力な敵が待ち構えているに違いない。


「ここまででも相当な数だが、これがほんの一部かもしれないな…」


 周囲の壁に設置された粗末なたいまつが、薄暗い明かりを放つ中、彼は一つ一つの音に耳を澄ませながら進む。


 時折聞こえるゴブリンたちの不気味な囁きや、遠くで響く武器の金属音が、洞窟全体に不安定な雰囲気を漂わせている。


「これだけゴブリンがいるとなると、それをまとめるゴブリンキングのような存在がいるのかもしれない。だが、どうやって倒すか…リーダー以上の強さともなれば、一人ではさすがに厳しいな。」


 俺は一瞬足を止め、洞窟の深部をじっと見つめた。次に現れる敵が何であれ、一つずつ倒して前に進むしかない。それが今、自分にできる唯一の選択肢だった。


「あれは?……洞窟とは別の場所に繋がってるようだな」


 俺の視線の先には、洞窟の岩肌にぽっかりと開いた巨大な入口があった。


 だが、その周囲の様子は洞窟の奥深くとは明らかに異なっていた。まるで人工物のように、左右対称に並ぶ石柱と規則的な彫り込まれた模様。異様な雰囲気が漂っており、何か異世界的な力が働いているのではないかと思わせる。


「こんな場所が…まるでダンジョンのようだが、今はそれよりも…」


 入口に雑な木でできた防壁に数体のゴブリンが立っており、普通のゴブリンとは違う威圧感を放っている。


 彼らは装備をしっかりと整えたゴブリンソードで、その隣には弓を構えたゴブリンアーチャーたちが控えていた。


「精鋭のゴブリンか…しかも見張りがいるとなると、ここには重要な何かがあるってことか」


  通常のゴブリンとは違い、これらの精鋭は洞窟内の他のゴブリンたちよりも強力で、戦術的に動く可能性が高い。


 さらに、ゴブリンアーチャーが遠距離から攻撃を仕掛けてくることは、間違いなく脅威となる。


「一気に突っ込むのは危険か…けど、こっちにも準備はある!」


  俺は一瞬立ち止まり、頭の中で状況を整理した。アーチャーの位置を把握し、まずは近づかれないようにすることが重要だ。迅速な行動が求められる。


「スウィフトダンスで加速して、まずはアーチャーを仕留めるしかないな…」


  ゴブリンたちの隙を突くために、素早く次の動きを考え始めた。


「よし、擬態だ…まずは静かに奇襲を仕掛ける」


  俺は姿を消し、洞窟の暗闇に溶け込んだ。目の前には数体のゴブリンアーチャーと、その背後には鋭い剣を構えたゴブリンソードが立ちはだかっている。


 アーチャーが警戒しつつ、弓を構え、周囲の見張りをしているのがわかるが、今の俺は見つかることはない。


「まずはあいつらを一掃するか…」


  擬態を解除すると同時に「風刃」を発動させた。鋭い風の刃が空気を切り裂き、アーチャーたちに向かって一直線に飛ぶ。


 何かを察知したかのようにゴブリンアーチャーたちが反応するが、風刃の速度には追いつけない。刃が彼らを次々と切り裂き、数体のアーチャーが声を上げる間もなく倒れた。


「一掃…完了っと」


 風刃の範囲攻撃でゴブリンアーチャーを一掃した。だが、それを見ていたゴブリンソードが鋭い目をこちらに向け、剣を構えながら駆け寄ってくる。


 力強い一撃が襲いかかってきたが、俺は即座に回避。


「そっちから来るなら…迎え撃つだけだ!」


 俺は再び風刃を発動し、さらにゴブリンソードの防御を無視する形で斬りかかる。


 風の刃は彼の硬い鎧を貫き、深々と傷を負わせた。敵は大きく体勢を崩し、追撃を仕掛ける隙が生まれる。


「まだまだ、これで終わりだ!」


 俺は再度風刃を複数放ち、ゴブリンソードを一気に倒しきった。倒れたゴブリンソードの体が地面に崩れ落ち、俺は一息つく。


「この場所がゴブリンの本拠地なのか…?」


 俺はゴブリンアーチャーやゴブリンソードを一掃した後、目の前に広がるダンジョンのような場所へと足を踏み入れた。


 人工物のような構造が広がり、周囲の岩壁とは明らかに違う。柱やアーチが並び、明らかに何者かが作り出したものだ。慎重に進むため、俺は再び擬態を使って姿を消し、静かに周囲を探りながら探索を始めた。


 暗い通路を進んでいくと、徐々に広い空間が目の前に現れる。


  そこにいたのは、おそらくゴブリンキング。そして、その周りに数千体のゴブリンがひしめいていた。ゴブリンの巣の中枢、つまりこのダンジョンの核がここにあるのだろう。


「…これはさすがに無理だな」


  俺は心の中でそう呟きながら、その場から退却することを決意した。


 ゴブリンキングの存在感は圧倒的で筋肉質で身長は五メートルはあるだろう、その指示に従っているゴブリンたちもかなりの数がいる。今の俺ではどうやっても勝てないと見ただけで感じた。


 擬態を維持しながら、静かにゴブリンキングたちのいる大部屋から引き返した。


「今は無理だな…ゴブリンキングの他にも今の俺より強そうなのが確認できたのだけで数十体もいた、今は少しずつ倒して力をつけ、いつか必ず倒してやる」


  一旦この場を離れ、次の作戦を練るために帰還することにした。ゴブリンキングと戦うのはまだ先だが、こうして敵の規模と力を確認できたのは大きな収穫だ。

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