紅い薔薇 蒼い瞳

星河琉嘩

プロローグ

 忘れない。


 貴方のこと。


 泣かない。


 思い出してはもう…。







「理菜」





 今はもう使われてない港で、海を見てた私。


 後ろから声を掛けられた。


 声の主は兄の駿壱。


「帰ろう。ここにいても仕方ない」


 兄はそう言って肩を抱く。


 私は彼が好きだった赤い薔薇の花束を海に投げ入れた。


「バイバイ。もう、来ないね」


 私はそのまま港を後にした。


 彼との思い出をここに残して……。



 秋月理菜。


 今年、16歳になった。


 もう少しで、高校にも行けなかった。


 そんな事ばかりしてきた。


 親と担任が私を助けてくれた。


 私はこの街で有名なヤンキーだった。


 私はそういう私をキライじゃなかった。





 辛い思いをした。


 辛い恋もした。


 だけど、後悔はしてない。





 私が惚れた彼、林良樹との出逢いは私が中学1年の時だった───……。




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