バナナは、おやつに入りますか?
@JULIA_JULIA
バナナは、おやつに入りますか?
修学旅行を一週間後に控え、六年二組の教室内は、
「はい、みんな。静かにして」
「じゃあ、いま配った【旅のしおり】を開いて下さい」
生徒たちの手には、小冊子。その中には、修学旅行の日程や注意事項などが記載されている。皆が【しおり】を開くと、
「おやつは、一人五百円までです。修学旅行の前日までに、各自で買い揃えておいて下さい」
そこで、一人の生徒が手を挙げた。
「どうしました?」
「五百円以内なら、なにを買ってもイイんですか?」
「はい、構いません。五百円のおやつを一つだけ買ってもイイですし、五十円のおやつを十個でもイイですよ。みんな、好きなモノを自分で選んで揃えて下さいね」
これも、一つの教育である。金銭の使い方、計画的な買い物の仕方。それらを学ぶ貴重な機会である。とはいえ六年生ともなれば、ほとんどの生徒は既にそのような機会を得ている。しかし中には、そうではない生徒もいるのだ。そんな生徒たちのため、
「お弁当の果物は、おやつに含まれるの?」
一人の女子生徒が手を挙げることもなく、言った。すると、隣の席の男子生徒が注意をする。
「おい。先生に聞くときは、ちゃんと手を挙げろよ」
些か喧嘩腰に注意した男子生徒。そんな様子を見た
「ゴメン・・・」
注意された女子生徒は悲しげな表情を浮かべ、俯いてしまった。そんな女子生徒をかばうため、
「まぁまぁ、落ち着いて。ありがとね。たしかに手を挙げてから発言してくれないと、先生も困っちゃう。
でも・・・、もう少し優しく注意してあげましょうね」
その言葉により、男子生徒は隣の女子生徒に謝罪をした。素早く対処して、二人の仲を取り持つことに成功した
「お弁当の果物は、おやつには含まれません。でも、お弁当の中にチョコレートやビスケットを入れてきては、ダメですよ」
流石にそこまでのことをする生徒はいないだろうが、
「お弁当の中に入ってない果物は、どうなるの?」
「ミカンとか!」
質問を補足するように、大きな声が響き渡った。別の男子生徒が手を挙げながら、叫んだのだ。指名をされていないにも
「ミカンは、おやつには含まれません」
「バナナは、おやつに入りますか?」
「バナナはオモチャです」
反射的に答えてしまった
「バ、バナナは、おやつには含まれません!!」
激しく顔を赤らめた
担任である
バナナは、おやつに入りますか? @JULIA_JULIA
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