第5話 美人な後輩と一緒にバイト先に行く。
――翌日。
本日も玲也は講義の後にアルバイトがある。
一通りの講義を終え、彼は最寄り駅へと向かうため学部棟を出る。ちょうどそのときだった。
「あ、鏡せんぱ~い!」
ふいに背後から呼び止められる。
聞いたことのある声だ。それもつい最近。そんなことを一瞬のうちに脳内で考えながら振り向くと、昨日バイト先のコンビニに入社してきた美人な後輩が居た。
「成瀬さん、お疲れ様」
「お疲れ様です! えへへ……大学で会うの初めてですねっ」
「そう言えばそうだね……なんか新鮮な感じがするよ」
昨日は仕事だったためだろう、上下無地のシンプルな服装をしていた。しかし現在の由紀は違った。
上にはお洒落なカーディガンを羽織っており、下はミニスカートで綺麗な脚を大胆に太ももまでさらけ出している。
しかも、昨日は1本にまとめていた明るい茶髪のロングヘアも今は降ろされており、なんとなく大人の女性っぽさを感じて玲也の心臓はドキッと跳ね上がった。
「先輩、今日もバイトですか?」
「うん、ちょうど今から向かおうと思ってて」
「じゃあ今日も先輩に教えてもらえるんですね? よかった~。あ! それなら……よかったら一緒に行きませんか?」
そんなことを言いながら、由紀は玲也の隣に身を寄せてくる。もう、普通に腕と腕が触れてしまうような距離だ。
「もちろん、成瀬さんがいいなら一緒に行こう」
「いいに決まってるじゃないですか! 鏡先輩と一緒に行けて嬉しいですっ」
(ち、近い……けど、成瀬さん的には男子とのこういう距離感とか普通なのかな……だったら変に反応しても俺気持ち悪いし……あ、あと私服とか髪型違うこととか言った方がいいのか……いやいやそれこそ下心あるキモいやつの典型だやめよう)
そんなことを頭の中でぐるぐると考えながら由紀と並んで歩いていたときのことだ。
「先輩先輩っ、わたしの私服どうですか? かわいいですか?」
由紀の方から今まさに玲也が頭の中で考えていたことを聞いて来た。
「うっ、うん……すごくお洒落だし、似合ってて可愛いよ」
「えへへぇ~、やった! かっこいい鏡先輩からそんな風に言ってもらえるの嬉しいっ!」
しかもそんなことまで言ってくる。
(か、かっこいいって俺が……? 俺とかただの陰キャなんだが……まぁ、そう言ってもらえるのは純粋に嬉しいけど)
そんなことを考えるが、表には出さずに平静を装う玲也。
そんな会話をしながら歩いていると大学から最寄り駅まで出ているスクールバスのバス停にたどり着く。
玲也は由紀と隣通しでバスにのり、電車に乗り継いでバイト先のコンビニへと向かった。
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