冷蔵庫

天川裕司

冷蔵庫

タイトル:冷蔵庫


私は新しいアパートに引っ越してきた。

でもここで奇妙な事件が起きた。


家の家具は前のオーナーが使っていたもの。

不思議なことで、それが許された。

私はちょうど貧しかったから、

家具を揃える余裕がなかった。だから、

「こんな新品同様の家具が使えるなんて♪」

と本当に嬉しくなった。


でも、それが既に奇妙なことの始まりだったんだ。


私はある夜、冷蔵庫を開けた。

「っ……?!」

すると冷蔵庫の中がどこか別の

空間・次元につながっていて…?


「な、なにこれ…」


向こうからも誰かが冷蔵庫を開け、

こちらを見ている。男の人だ。


バッと後ろに尻餅をつく程のけぞり、私はたじろいだ。

すると冷蔵庫はいつもの表情を見せ、

中には野菜や果物、肉や魚、ジュースや麦茶が

いつものように置かれていた。


「…幻覚…?」

その日はそれで何もなかったが、次の日の夜、

また冷蔵庫を開けると…

「っ……?!」

冷蔵庫の中がどこか別の

空間・次元につながっていて…?


「きゃあ!や、やっぱり…!?」


向こうからも誰かが冷蔵庫を開け、

こちらを見ている。やっぱり男の人だ。

同じことが起きていた。


1度目は幻覚と片付けたが、もうそうも言ってられない。

何かされる前にこの部屋を出よう、そう決めて、

私は荷造りを始めた。


でもこの部屋の謎を解いてみたい。

そう思い、アパートの管理人や、

このアパートに昔から住んでいる人など、

聞ける人に情報を得るため聞いてみた。


管理人「え?…さぁそんなことは…」

住居人「知らないねぇ」

いろんな人に聞いてみたがこれも運命と言うべきか。


ある日、ふらとこのアパート前にやってきた人と

私は出会い、その人から事情を聞く事ができたんだ。


人「早く出た方が良い。君が見たのは幻覚でも何でもなく、事実そのままだ」

「え…?」

人「…過去に起きた事実、君が見たのはそれだ」


私はその日にアパートを引っ越した。


冷蔵庫とは、モノを冷やすところ。

普通なら食品だが、いろんなモノも冷やせる。


あの人はそこまでしか教えてくれなかったが、

もし、その話を聞いてる時に心の中にポンと

浮かんだ想像が本当ならば、

「…やっぱり出て正解だったかも」

となるのは必然だった。


あの部屋で、誰かが殺害された。

その犯人の行方はわからないまま。

でも、誰かがあの部屋でこの世を去った。

その人は、冷蔵庫の住居人と成って居る?


別にその人は誰かに危害を加えるでもなかったが、

近づかなくて良いものに近づく必要はない…

として、多くの人はそのまま生活して行くのだろう。

その事まで学んだ私。あの人の言葉から学んだ私。


私みたいな人が、この世にも結構居るのだろうか。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=MwUir8ROcbI

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冷蔵庫 天川裕司 @tenkawayuji

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